Cal Tjader 「Latin Kick」(1956)

 楽しければいいじゃない、と明るく華やかなラテン・ジャズ。

 カル・ジェイダーはビブラフォン奏者。51年にレコード・デビューして、50年代はファンタジーで多数のアルバムを発表した。ラテン・ジャズの分野で活躍、これもそんな一枚。
 ジャズと言えばまずニューヨーク系の切磋琢磨なハード・バップを頭に浮かべてしまうし、真剣勝負の果し合いなジャズばかり聴いてきた。が、そもそもは楽しいBGMな要素もジャズにはある。この盤なんて、まさにそんな感じ。積極的に聴いては来なかったが、この歳になるとどんどん聴く間口が広くなってくる。いい加減、耳にこだわりが無くなってきたってことか。

 ピアノ・トリオにジェイダーのビブラフォン。ほとんどの曲でテナー・サックスも加えた。さらにティンバレスとコンガでリズムにラテン風味をどっぷり振りかけて音楽を作り上げた。
 人の曲がほとんどだが、スタンダードかな。(6)と(11)がジェイダーのオリジナル。(8)はピアノのマニュエル・デュランが作曲した。

 ここにはミュージシャンのむやみな自己主張の暑苦しさや、テクニックひけらかしのあざとさは無い。ラテン・ビートをふんだんにばらまき、楽しく軽やかなサウンドを披露した。ソロ回しもやたらはしゃがない。さりげなく、メロディを遊ばせる。

 とはいえテクニックは確実で、タイトに決めた。特にピアノが良いな。出しゃばらないがキッチリとスイングさせる。
 ラテンと言いつつ、パーカッションの二人は賑やかな一方で、グルーヴを牽引はしない。むしろベースとピアノが目立つ。ドラムはパーカッションの音がでかくて埋もれ気味。
 熱く燃え立つラテンでなく、すっと息を抜いた寛ぎがアルバム全編に漂う。ただしスリリングなタイトさを保ち続けてるとこがミソだ。

 かすれ気味にブロウするサックスが入ってブカブカと力強いのもいいけれど、むしろホーン無しの曲がシンプルにアンサンブルの魅力を楽しめる。ホーンがいるとアドリブ回しの要素が強まるからね。
 しかしジェイダーはかなり抑えてる。他の人がソロの時は手を止めている。ポイントのみでビブラフォンが鳴って、猛烈にメリハリを利かせた。奏者としてよりバンド・リーダーな役割が志向かな。

Track listing:
1 Invitation 4:13
2 Lover Come Back To Me 3:43
3 September Song 3:00
4 Will You Still Be Mine 3:28
5 I Love Paris 5:52
6 Tropicana 3:14
7 Moonlight In Vermont 2:58
8 Bye Bey Blues 3:37
9 Manuels Mambo 3:17
10 All The Things You Are 4:10
11 Blues From Havana 3:05

Personnel:
Brew Moore (tenor sax -2,4,8,11) Cal Tjader (vibes) Manuel Duran (piano) Carlos Duran (bass) Luis Miranda (congas) Bayardo Velarde (timbales)

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