Whatnauts 「Come Into Sweet Bitter Soul...」(1990)

 いなたくも突飛なアレンジと確実なボーカルのB級コーラス・グループを、日本で編集した盤。
https://www.discogs.com/ja/Whatnauts-Come-Into-Sweet-Bitter-Soul/release/4613666

 P-Vineが瞬間的に販売権を取得して90年に発売の、まんべんなく彼らのキャリアをまとめた編集盤。この少し前にP-VineはLPでそれぞれ単独の再発もしてた。本盤出たのはCDの移行期。CDで同時発売はビジネス的に難しく、長時間録音を生かしてCDでは編集盤にしたのかも。
 Discogsによると、94年にP-VineはCDで単独リイシューを繰り返す。けっこう推してるな。確かに94年頃はもうすっかりCD時代。けれどそこまでホワットノウツの売り上げが期待できたとも思えない。今現在、大して再評価もされてなさそうだし。

 ホワットノウツはボルチモア出身。ニュージャージーのレコード会社でシルヴィアが経営したオール・プラチナムの傘下レーベル、スタングから以下3枚のアルバムを残した。

Introducing the Whatnauts (Stang, 1970)
Reaching for the Stars (Stang, 1971)
Whatnauts on the Rocks (1972)
 本盤は(1)-(8)が1st,(9)-(15)が2nd,(16)-(20)が3rdから。曲順もそのままにエッセンスだけ抜いたような感じで、オリジナルの流れを極力崩さずCD1枚で概観できるコンセプトの編集に仕上げた。
 元リトル・アンソニー&インペリアルズのメンバーで、オール・プラチナムを支えたジョージ・カーが3枚ともプロデュースや楽曲提供に係わっている。

 メンバーは3人、Billy Herndon, Garnett Jones, Gerard Pickney。
 ホワットノウツはスタングでシングルを数枚出すがヒットにつながらず。地道に活動はし続けた、のかもしれない。けれどリリースは無し。
 74年にレーベル仲間のモーメンツと共同名義でシングルを1枚、82年に"Help Is On the Way",83年に"Still I'll Rise"と唐突なシングル・リリースもDiscogsで見受けられるが、特に現在は活動してないようだ。

 70年代前半はコーラス・グループが流行ったイメージあり。同世代のニュージャージーと言えば、モーメンツ。どっか田舎っぽいのが特徴だ。洗練されたニューヨークや甘々なフィラデルフィアと違って。この時代は意外と明確に地域ごとの違いがあるらしい。東京と大阪でサウンドが違うようなものか。

 モーメンツもそうだが、スタングの盤は音質が悪いイメージあり。本盤もそう。90年代のマスタリング技術をさっぴいても、盤起こしかってくらい音が割れている。マスター音源は見つからなかったのか、そもそもテープのクオリティがいまいちだったのか。
 音質と音楽には関係ないとはいえ、この荒っぽいサウンドそのものが楽曲へ奇妙な安っぽさを漂わせてしまった。
 
 ちなみに今、ホワットノウツはアルバム単位で再発もされている。ぼくは買い直してないので、今の音質は不明。もしかしたら、良くなってるのかもしれない。
  
 
 久しぶりに本盤を聴き返したが、楽曲はどれも素敵だ。荒々しい演奏はご愛敬。ストリングスも力強く鳴っている。(1)が顕著だが、左右に唐突に定位が飛んだりと突飛なアレンジも無造作に挿入した。
 乾いたドラムとギターにベース。基本のリズム隊へ、どっぷりと弦をかぶせる。ゴージャスさを前面に出した。ファルセットを基調の甘さもしっかり提示あり、きっちり予算と上手いミュージシャンを使ったらクオリティはもっと上がったろう。

 Discogsによれば、少なくとも2ndのメンバーはCurtis McTeer(b),Donald McCoy(ds),Michael Watson(g)って顔ぶれ。といっても経歴はよくわからないのだが。
 三枚がいっぺんに録音ではなさそうだ。1stと3rdでは明らかに録音やアレンジのスタイルも変わってるし。とはいえ共通する粗削りなトーンは変わらない。

 ギターは着実。ドラムはちょいとバタつく。弦がこれでもかって強く鳴り、歌を盛り立てる。そしてボーカルは伴奏に負けず力強い。ファルセットが印象深いが、地声でも歌い幅広い曲想だ。本盤はメロウな楽曲が並び、彼らの実力が素直に味わえる趣向になってる。いやー、気持ちいいね。

Track listing:
1 I Just Can't Lose Your Love 3:45
2 Tweedy Dum-Dum 3:26
3 She's Gone To Another 2:14
4 What's Left To Give (After Giving It Al) 3:45
5 Fall In Love All Over 2:34
6 Just Can't Leave My Baby 3:14
7 l'll Erase Away Your Pain 3:18
8 Please Make The Love Go Away 3:19
9 Try Me And I'll Show You 4:17
10 Friends By Day (Lovers By Night) 3:31
11 Alibis And Lies 3:42
12 I Dig Your Act 2:26
13 You Gave Me True Loving 3:09
14 We Will Always Be Together 3:37
15 My Thing 3:03
16 You Forget Too Easy 3:25
17 Hurry Up And Wait 4:10
18 I'm So Glad I Found You 3:18
19 Blues Fly Away 2:46
20 Ohh Baby Baby 3:15

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