The Rolling Stones 「December's Children (And Everybody's)」(1965)

 寄せ集めな米盤5th。デビュー数年で一気に迫力を増した様子が分かる。滲むメロウさが温かい。

 内容は英3rd"Out of Our Heads"(1965)を下敷きだがシングルやEP曲を足してすっかり違うイメージに仕上がった。売らんかなの資本主義体制が露骨に出たアルバム。しかし上り調子の鋭さと、カバー主体の脱却が図られてないだけに、雑多ながらまとまりを感じさせる選曲だ。

 とにかくA1のメロウさが素晴らしい。バンド・サウンドでホーン隊も入るR&Bなオリジナル曲はラリー・ウィリアムズが59年に出したシングルのB面。

 たぶん埋もれてたであろう楽曲を掘り出し、なおかつAメロとサビで緩急をばっちり効かせたアレンジを施す。ここには無邪気にカバーする素直さから、オリジナルに解釈を施す鋭さが明確に表れた。

 続く61年のチャック・ベリー"I'm Talking About You"もそうだ。キーを下げ、フレーズの末尾を気だるげに伸ばす、ミックの解釈と凄みはオリジナルに違う魅力を与えた。不良っぽい凄みがストーンズ版では効いている。
 その一方で今聴くと、どこかしらメロウな響きが漂うのがご愛敬。当時はまだ、辛さにのどかなところがある。
 でもギターの歪んだ音色など、サウンドはすっかりストーンズ節ができている。

 なおジャック・ニッチェがB2に鍵盤で参加した。この前にも数曲でニッチェはストーンズのセッションへ断片的に参加してる。スペクター人脈ってことで、ストーンズは起用かな。どういう経緯だろう。イギリスにニッチェは行ってたのかな?

 全12曲中、ストーンズのオリジナルはA4、B1~5と約半数。けれどもカバーがすっかり自分のものにした解釈が施されており、遜色ない仕上がりだ。
 あえてB面の"Get Off My Cloud"というオリジナルでアルバムを押さず、カバー曲で始める編集センスが冷静にそろばんをはじくアメリカ流か。

 少なくともオリジナル曲は、アメリカ人にとってはいくぶん血肉な実感があったろう。耳に馴染む曲をイギリスの連中がどう解釈したかって興味をひかせ、B面でオリジナル曲連発で、単なる興味本位のバンドでないと示す寸法だ。

 全体にうっすら漂うメロウさはアメリカに無い抒情性を持つ。
 セルフ・カバーな"As Tears Go By"もカントリー・フォーク風の爪弾きで始まりながら、クラシカルな弦をふんだんに鳴らして英国の整った空気を演出する。アメリカ文化とイギリスの色が混ざってる様子を、うまく表現した。

 しかも最後はカントリーのスタンダードをカバーした"I'm Moving On"を配置。アメリカ人のアイデンティティを静かに満足させる。よく考えてるなあ。選曲ってアンドリュー・ルーグ・オールダム自身?アメリカ人のセンスが良く出てると思う。

Track listing:
A1 She Said Yeah 1:30
A2 Talkin' About You 2:30
A3 You Better Move On 2:37
A4 Look What You've Done 2:33
A5 The Singer Not The Song 2:22
A6 Route 66 2:29
B1 Get Off My Cloud 2:52
B2 I'm Free 2:17
B3 As Tears Go By 2:45
B4 Gotta Get Away 2:03
B5 Blue Turns To Grey 2:27
B6 I'm Moving On 2:13

Personnel:
The Rolling Stones
Mick Jagger - lead vocals, harmonica, percussion
Keith Richards - electric and acoustic guitars, backing vocals
Brian Jones - electric and acoustic guitars, harmonica, organ, backing vocals, percussion
Bill Wyman - bass guitar, backing vocals
Charlie Watts - drums and percussion

Additional personnel
Mike Leander - string arrangement
Ian Stewart - piano,organ
Jack Nitzsche - organ, percussion (on B2)
James W. Alexander - tamb (on B2)

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