The Rolling Stones 「The Rolling Stones」(1964)

 真摯な憧憬が詰まった瑞々しい盤。鋭利なブルーズ観が当時の英国流か。

 いまさら新しい切り口などあるまい。歴史を語っても知ったかぶりにしかならない。単純に、カッコいいなーと聴き返してる。その感想をつらつら書いてみよう。詳しいことはみんな、知ってるでしょ。
 ストーンズの英国盤の1st。初期の盤は米英で似たようなジャケットの曲目違いがあり、なおかつイギリス流でシングル曲も含まれてない。したがってきちんと聴きこんだ気がしない。と言っても僕はストーンズを虫食いくらいで舐めただけ。きっちり聴いてはいないのだが。

 ざっと検索したが、英盤1stがAmazonで見当たらない。米盤しか出ない。今は英盤シーケンスでのCD化ってないんだっけ?この辺が詳しくない悲しさ。

 本盤の過半数はアメリカのブルーズとR&Bのカバー。だがのちのストーンズに通じる、独特のうわずるブルージーな味わいは既に出てる。これは演奏スタイルと解釈によるものだろう。粘っこさは、本場のシカゴ・ブルーズのしたたかさが無い。
 ぶっちゃけ演奏も荒っぽい。どんどこと鳴るドラムを筆頭に、リズムも少し揺れる。3拍目を抜かないドラミングをこのときは叩いており、ノリがつんのめりはしないけど。
 アップテンポのほうが勢いで突き進む。テンポ落ちると逆に危うさがじんわりあり。例えば"You Can Make It If You Try"なんて、どたばただもの。

 でも、斬新さは凄かったんだろうな。この地味さで売れる当時のセンスも凄いが。
 カバーの選曲もスノッブ臭漂うひねりっぷり。当時の情報流通や鮮度は今と大きく違う。しかし無邪気にメジャー曲をカバーしたビートルズとは違う。ノーザン・ソウルを持てはやした後の感覚と同様に、マニアックな黒人音楽愛好家のスタンスだ。

 当時からいきなり売れてたようだが、ミックを筆頭とするアイドル的な持て囃しと別次元に、これらの選曲を当時の観衆はどんなふうに聴いてたんだろう。それが知りたい。
 公式ウェブでキースのコメントによると、当時のCrawdaddyでライブしてたレパートリーを並べたとあるが。

 選曲はA面からB面中盤までが懐メロ路線か。オリジナルの発表はA1が46年、A2が54年でA3,A4,B1は57年、そしてB2が58年。B4が63年と前年のヒット曲を選び、B5で再び57年に戻る。そして最後のB6も前年の63年にアメリカで出た曲。
 この当時はLPが主体のビジネス形態ではない。より趣味性をストーンズが披露して、アイドルだけじゃないんだと、イメージの幅を広げた格好か。

 今聴くと、ストーンズの演奏は軽くて安っぽい。録音技術やテクニックもあったろう。だがドタバタするリズム感はそのままに、無邪気さが目立つ。根性が座ってないというか。
 そのわりにフィル・スペクターがマラカス、ジーン・ピットニーがピアノで(6)に参加するという豪華さもある。この辺の距離感がわからない。

 ここの時系列ディスコグラフィによると、リリース頻度はこんな感じ。
http://www.timeisonourside.com/disco1.html
63/6/7 Come on (single)
63/11/1 I Wanna Be Your Man (single)
64/1/10 THE ROLLING STONES (EP)
64/2/21 Not Fade Away (single)
64/4/17 The Rolling Stones 【本盤】

 レコード・デビューから一年近くたち、シングル数枚切っておもむろにアルバムって位置づけだ。しかも過去のシングルとEP曲はほぼ収められていない。唯一、3rdシングルのB面"Little By Little"が本盤に収録されたくらい。妙に中途半端だな。ストーンズのオリジナル曲だから、かな。

 それにしても唯一のジャガー/リチャーズ名義な"Tell Me (You're Coming Back)"で腰の据わりっぷりがすごい。瑞々しいフレーズをシンプルなギター中心にアレンジして、なおかつ渋い凄みも滲ませる。
 アメリカのブルーズやR&Bをばら撒いた地味なイメージのアルバムで、異彩を放っている。

 Nanker Phelge名義の"Now I've Got A Witness (Like Uncle Gene And Uncle Phil)"や"Little By Little"は、カバー曲とすんなり馴染むのに。
 この辺の自力ある音楽性が、今でも続く凄さの萌芽か。60年代はブライアンの貢献度を評価したくなるが、決してジャガー/リチャーズも地味ではなかった。要は全員、凄かったんだな。

Track listing:
A1 Route 66
A2 I Just Want To Make Love To You
A3 Honest I Do
A4 Mona
A5 Now I've Got A Witness (Like Uncle Gene And Uncle Phil)
A6 Little By Little
B1 I'm A King Bee
B2 Carol
B3 Tell Me (You're Coming Back)
B4 Can I Get A Witness
B5 You Can Make It If You Try
B6 Walking The Dog

Personnel:
The Rolling Stones
Mick Jagger – lead and backing vocals, harmonica on "Little by Little" and "I'm a King Bee", percussion
Keith Richards – guitar, backing vocals
Brian Jones – guitar, harmonica, percussion, backing vocals, co-lead vocals on "Walking The Dog"
Bill Wyman – bass guitar, backing vocals
Charlie Watts – drums, percussion

Additional musicians
Ian Stewart – organ, piano
Gene Pitney – piano on "Little by Little"
Phil Spector – maracas on "Little by Little"

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