Colin Hay 「Are You Lookin' At Me?」(2007)

 吹っ切ってカントリー追求を始めた五目味なアルバム。ここからコリン・ヘイの再進撃が始まる。

 前作"Company Of Strangers"(2002)から5年の間を置いてリリースの本作から、ヘイはぐっとカントリーに接近した。これ以前にもフォークやカントリー風味を得意にしていたが、本盤あたりから地に足がついて等身大の魅力をあっけらかんと表現してる気がする。
 実際のリリース・ペースも本盤から数年ごとに1枚とコンスタントな活動が続いてる。
 
 本盤では英国フォークとアメリカン・カントリーやフォークなど複数の文化圏を曲ごとに横断する。あえてテーマを決めず、リリースしなかった5年間の集大成かのよう。しかしとっ散らかってはいない。
 アレンジもアコースティックからエレクトリックなバンド編成、打ち込みなど多彩だが。渋く落ち着いた雰囲気あり。

 正直、冒頭2曲のイギリス風味な楽曲が少しばかり重たい。そのせいでこの盤は取っつき悪くなってしまった。
 聴き進めると穏やかで柔らかい世界が広がって寛げる。コリン節の切なさが手を変え品を変えアルバムを通底した。
 無邪気なポップスターを気取る山っ気が、本盤ではきれいに消えた。のびのびと楽しく、サウンドを味わってる印象あり。じわっと良さが滲むアルバムだ。

 アレンジもけっこう変わってる。例えば(2)。いきなり冒頭からすごく余韻もったエンディングを採用した。せわしなさを廃し、苦みを滲ませ、焦らず。
 (5)ではライブ風に一発録りなのか、演奏後に拍手なども聴こえる。かといってセッションぽさを本盤で前面に出すわけでもなし。統一性は意識してない。
 数曲で聴けるホーン隊はアメリカのスタジオ・ミュージシャンだが、英国風味の寂し気な空気をじわっと滲ませ、くすんで良い味わいを出した。
 5年ぶりのアルバムって気負いは感じない。むしろ作り溜めた音源を無造作に並べた感じ。

 録音にも無闇に予算をかけなかったようす。エンジニアやミックスにもヘイのクレジットがある。自宅録音でベーシックを作りこみ、ホーン隊などをダビングのようだ。
  本盤では大きく二種類のセッションに分かれる。どの曲がどちらのセッションか特定できないが。演奏のキーマンはChad FischerとCharlie Paxson、そしてPaul Inder。
 
 以前からの盟友Chad Fischerのドラムは6と10の二曲のみ。打ち込みもあるが、他のドラムはすべてCharlie Paxsonが叩いた。メンバー交代ではない。二人ともこのあとの盤でヘイと共演を続けてる。Fischerが録音やプロデュース側に一歩引き、Paxsonが加わってリズム表現に幅を出した形か。

 そしてマルチ奏者のPaul Inder。本盤ではベース、打ち込み、ギターに録音・ミックスとさまざまなクレジットあり。彼とは本盤のみの関係で終わったようだ。
 鍵盤やベースなどで複数のミュージシャンを起用なとこからみて、ヘイ/Fischer組と、Inder組のセッションを合わせた盤なのだろう。
 地味なのがヘイ組、売れ線狙いのアプローチがInder組だったのかもしれない。

 ヘイは本盤でいろんな要素を詰め込んだ。キャリアを重ねた余裕で、ゆとりはあり。その懐深さが本盤の温かさに貢献してる。
 
Track listing:
1 Are You Lookin' At Me? 4:15
2 Lose To Win 4:02
3 Here In My Hometown 5:24
4 Up In Smoke 3:37
5 No One Knows 3:58
6 This Time I Got You 4:05
7 Lonely Without You 3:55
8 What Would Bob Do? 4:46
9 Pure Love 3:24
10 Me And My Imaginary Friend 3:02
11 Land Of The Midnight Sun 4:28
12 I Wish I Was Still Drinking 4:14

Personnel:
Vocals,Mandolin,Concertina - Colin Hay
Guitar - Colin Hay, Paul Inder
Backing Vocals - Cecilia Noel, Paul Inder
Bass - Alan Deremo, Colin Hay, Kaveh Rastegar, Paul Inder
Keyboards - Kiki Ebsen
Organ - Colin Hay, Jeff Babko, Larry Goldings (on 12), Rob Clores
Piano - Cecilia Noel, Jeff Babko, Larry Goldings (on 12), Rob Clores

Drum Programming - Paul Inder
Drums - Chad Fischer (on 6, 10), Charlie Paxson, Colin Hay
Percussion - Chad Fischer (on 6), Charlie Paxson, Lenny Castro

Choir,Kazoo - Cecilia Noel
Flugelhorn - Lee Thornburg
Trombone - Eric Jorgensen, Jeff Babko
Trumpet - Lee Thornburg
Programmed By - Paul Inder, Tony Bruno (8)

Producer - Chad Fischer (on 6, 12), Colin Hay
Mixed By - Chad Fischer, Colin Hay, Paul Inder
Engineer - Chad Fischer, Colin Hay, Edwardo McKinley, Paul Inder

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