Colin Hay 「Company of Strangers」(2002)

 見事に成熟した枯れっぷりで魅せた傑作。いい感じでアメリカン・カントリーを取り入れた。
 

 前作から1年と、珍しく速いペースで新譜を投入したコリン・ヘイ。前作はギターのみの簡素なアルバムだったが、今回はバンド編成やダビングを多用して鮮やかなサウンドを作った。しかしそれに無理がない。派手さを抑え、着実なアンサンブルに仕上げてる。
 いわば、地味。しかしきれいな枯れっぷりが穏やかな魅力を醸し出す。ファンのためそれなりにヘイのアルバムは楽しんできたが、"Wayfaring Sons"(1990)以来の傑作と思う。

 声を無闇に張らない。ロックよりもカントリーに接近した盤だ。
 前作"Going Somewhere"(2001)から(9)(10)(11)と三連続でセルフ・カバーを投入して、改めて仕切り直してもいる。バンド演奏を軸にしながら(5)でリズム・ボックスを足すなどアンサンブル構成にも固執しない。
 前々作やその前、"Topanga" (1994)や"Transcendental Highway" (1998)で狙ってきた世界が、ぐっと焦点あって成熟している。本盤リリースの時、ヘイは47歳。いい感じで音楽のニュアンスが固まったのかもしれない。

 うわずり気味に硬質なヘイの独特なメロディ・ラインは本盤も健在。しかし無闇にヒット狙いのギラギラしたところがない。乾いた色合いがカントリーの埃っぽさと、うまいことハマった。時たま滲むメロウさも魅力的。

 録音はヘイの拠点、カリフォルニアのトパンガにて。弦とブラスは同じくカリフォルニアのバーバンクで重ねられた。
 盟友Chad Fischer(ds,p)はエンジニアも担当して、変わらぬ協力ぶり。
 このあとヘイのバンドで共演を重ねるJimmy Earl(b),Jeff Babko(key)は本盤で初参加した。
 そしてギターのToshi Yanagiも、本盤以降数枚でヘイのバンドに加わる。つまり結果論だが、向こう十年続くヘイのバンドは本盤で基本線が固まった。だからこそ"Wayfaring Sons"に通じる一体感を、今も感じられるのかも。
 なおサックスを吹いたのはザッパの88年ツアーに帯同したAlbert Wingだ。
 
 ヘイ自身のプロデュースは、うまくまとまっている。
 弦やブラスはけっこうあちこちでダビングあるが、あまり暑苦しくない。さりげないとは言わないが、むやみに派手さに向かっておらず。
 アコースティックさを前面に出しながら、エレキギター中心のアレンジも違和感なく一つのアルバムに封じ込められた。

 最終曲の(12)ではSP盤風のノイズを足して音を籠らせ、ボードビル調とビーチ・ボーイズ風コーラスを加えて、もろにアメリカンなポップスに接近した。ヘイのアメリカ文化接近ぶりを象徴する一曲だ。
 
 なお本盤は2010年にリマスター再発。その際に(4)のアコギを中心のアコースティックver.がボートラで収録された。

Track listing:
1 I Got Woken Up 3:40
2 Small Town Big Hell 4:24
3 Lucky Bastard 4:01
4 Company Of Strangers 4:47
5 No Win Situation 3:00
6 Dear J 3:17
7 Small Price To Be Free 4:55
8 How Long Will It Last 3:37
9 Lifeline 3:50
10 Don't Wait Up 5:26
11 Beautiful World 3:39
12 And If You Only Knew 3:04
[Bonus]
13 Company Of Strangers (Acoustic) 4:30

Personnel:
Producer - Colin Hay
Vocals, Guitar, Bass - Colin Hay
Guitar - Lyle Workman (tracks: 5), Toshi Yanagi
Keyboards - Jeff Babko
Bass - Jimmy Earl
Drums, Percussion, Piano, Backing Vocals - Chad Fischer
Saxophone - Albert Wing
Backing Vocals - Cecilia Noel

Drums - Bernie Dresel (tracks: 12)
Piano - Larry Goldings (tracks: 7, 10)
Arranged By [Strings, French Horn] - Ruy Folguera

Recorded at The Wash Room, Topanga, CA, and Lookout Sound, LA, CA
Engineered & Mixed at Lookout Sound

Strings & Horns recorded at Igloo Music, Burbank, CA

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