ナイトフライ解説本

冨田恵一の著書「ナイトフライ:録音芸術の作法と鑑賞法」(DU Books:2014)を読む。
素晴らしく刺激的で面白かった。

本書の目線は作り手サイド。作曲家でありアレンジャーでありプロデューサー目線だ。けっしてぼくは持ちえない視点なだけに、さまざまな指摘事項や評価のアプローチが興味深い。
冨田ラボは、本盤が隅々までパンチインを施した盤と推測する。シロートが聴いたくらいでパンチインの有無って分からない。分かっちゃまずいか。

しかし"ナイトフライ"がウェンデルを駆使した、80年代的打ち込みビートの先駆とは思わなかった。タイトな生演奏かとばかり。冨田は本書で「本盤に生ドラムはほぼ無い」と分析する。
本書を読んだ後で本盤を聴きかえすと、きっと前の印象には戻れない。異様にメカニカルに聴こえる。そのリスクを押してでも、本書を読む価値は有る。強烈にお薦め。

追加知識で楽曲の印象がガラリ変わったのは、ビートルズの"ストロベリ~"やビーチ・ボーイズの"And Your Dream Comes True"。
前者はレコーディング日記読んでから聴き直し、テイク繋ぎの見事さに唸った。
後者は達郎の「テープつぎはぎ」とラジオで言ってから、ヘッドホンで聴いてぶっ飛んだ。なぜ気づかなかったのか、と。
マイルスの"On the corner"もそうか。菊地成孔の「一拍半切って始まる」ってと解説読んで唸ったっけ。

音楽の解釈や解説のアプローチはいかようにもある。だが自分には決して無く、想像もつかない視点で分析を知るのは、好奇心がくすぐられて楽しいったらない。
この「ナイトフライ:録音芸術の作法と鑑賞法」も、久しぶりにのめり込んで読んだ音楽本だった。
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