Acid Mothers Temple SWR 「SWR」(2005)

 大真面目にふざける三人組、SWRの1stフル・アルバム。セッションを吉田が編集してコンパクトな楽曲集にまとめた。

 もともとは"JAPANESE NEW MUSIC FESTIVAL"。最初は吉田達也、津山篤、河端一の三人が順列組み合わせで複数バンドを披露するってコンセプトの一環だった。始まりが03年の欧州ツアーらしい。その時はバンド名がACID MOTHERS TEMPLE mode-HHHだった。
 ちなみにその時、他のユニットは、ZUBI ZUVA X、赤天、RUINS -1、ZOFFY。ツアーを重ねるにつれ、芸風は広がりShrinp Wark(吉田+河端)や各自のソロなど出し物は少しづつ変わっている。
 最新形は津山ソロ、河端ソロ、Ruin Alone、ZUBI ZUVA X、赤天、Zoffy、サイケ奉行、SWRの8バンド公演らしい。

 ぼくは吉田達也ファンの目線でこのユニットを知ったし、そもそもの企画はルインズと津山じゃなかったかな?ただし名義はともあれ、最初からアシッド・マザーズの派生ユニットとしてこの三人は位置づけられていた。のちにマニ・ノイマイヤーと絡む、グルグル祭りでもこのユニットは聴ける。

 SWRの特徴は津山のトラッド風味、吉田のプログレ好み、河端のサイケ路線が絡み合い、さらに三人三様のユーモアや余裕が加味されたところ。ギャグに走らず真摯な演奏が詰まった盤だが、どことなく相手の出方を鷹揚に受け入れ即座に返す、仲の良さを感じる。

 とにかくアイディアの練りこみに時間をかけず、次々に作りだす手早い仕上げが上手いこと成立して、歯切れ良い混沌が見事に出来あがった。
 本盤も杉並区の公共施設、社会教育センター(セシオン杉並)で04年4月の10時から19時の7時間で録音は完了した。手近で安価に仕上げるさまが、いかにも吉田の凄いところ。
 
 一日で録音と言っても、数時間でセッション垂れ流し収録ではない。
 猛スピードで録音しながら、インプロ一発勝負ではない。いや、基本は即興ジャムだが、あれこれとアイディアは楽曲ごとに工夫されている。
 奔放に溢れるアイディアをコンパクトに整理するところは、鋭い編集の技が効いている。

 録音と編集、ミックスも吉田。彼らしい野太くエッジの立った、極端に迫力を出すサウンドに仕上がってる。
 つまりAMT名義でありながら、かなり吉田の色が強い。河端はメンバーの一人に収まっている。それでも三人の信頼関係ゆえか、出来に不満は全くない。性急な吉田の色が強く漂いながらも、津山はマイペースで唸りドライブさせるし、河端も歪んだギターを存分にばらまいた。

 録音の方向性はまちまち。ジャム・セッションの一環ながら、テンポやインタープレイのアプローチは疾走から寛ぎまで幅が広い。どの程度、ダビングやエフェクタ処理を実施だろう。(7)でのエコー感などは、その場でアンプの轟音から漏れ出る唸りで、後からエフェクタではないようにも聴こえる。とはいえ演奏が始まるとドライな方向性に向かうので、曲の前半と終盤で音質感覚が異なるけれど。

 全13曲、長くても6~7分と素早い進捗する楽曲だ。とはいえテーマがあってメロディは作曲ってパターンじゃない。すべてがインプロだろう。曲タイトルも、後付けじゃなかろうか。

 ギターは曲によって音色を変えるため、単調さはない。
 津山や河端がフレーズを遊ばせ、時にリフまで昇華する。吉田は安易に釣られないが、はみだしもしない。なんというか、三人がぴたり息の合ったグルーヴ感が痛快だ。
 何をやっても破綻せず、それでいて手癖の応酬には至らない。緩急のうねりが抜群にハマってる。(9)みたいに演奏前の手慣らしっぽい場面すら、楽曲に聴こえてしまう。

 AMTも吉田も、SWRはあくまで傍流のバンドではあるけれど。曲者巧者の三人による、スリリングなセッションは凄く聴きものだ。

Track listing:
1. Eat A Pebble
2. Do You Know Where The Secondhand Record Shop Is?
3. Good Buddha
4. Mecochin Of Love
5. Bad Buddha
6. Stone Woman & Record
7. Gustavo Hendi
8. There Is Nothing To Make You Happy In This Box!
9. Honi Honi Shinno
10. Devo Feere Pagarli
11. Fenomenologia
12. 俺たちはレコードを聞きたいのではない、買いたいのだ・・・ただし吉田は除く・・・
13. More Stones, More Women & More Records

Personnel:
Acid Mothers Temple SWR :
吉田達也 : drums
津山篤 : bass, voice
河端一 : guitar

recorded on 10am - 19pm 28 April 2004 at セシオン杉並, Tokyo
recorded, mixed and edited by 吉田達也
 

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