Acid Mothers Temple & The Melting Paraiso U.F.O. 「41st Century Splendid Man」(2002)

 吉田達也が参加したSWRでなく宗家のLP。初期音源の混沌さを無造作にアルバム化した。

 コットン・カシノが在籍時なアシッド・マザーズ・テンプルのLP。リリースこそ02年だが録音は97-98年と活動初期の音源にあたる。
 A面が小泉一(ex;Mainliner)がドラムの5人組で、B面が吉田が参加と明確に音源を分けた。

 リリースは米tUMULtから。なお本盤の音源は07年にブラジルのレーベルEssence Musicから、"Ruck Zuck"(クラフトワークのカバー),"Hello Eskimo or Polyhedral Mu"の2曲を足して、"41st Century Splendid Man Returns"と改題しCDで再発あり。前者は一楽儀光、後者は須原敬三が参加と、ますますバラエティに富んでいる。
 その際、本盤のB1は"Genesis Of Humanity (Amoebae - Volcanoes - Dinosaurs - Humanity - Civilization - War - Extinction - Robots)"と長い名前に変更された。

 楽曲は後年の熱狂と加速が明確にコンセプト化されておらず、もっとヒッピー的なサイケにとどまっている。特にB2が顕著だ。ダブ処理が酩酊感を誘った。
 シンプルなアンサンブルのA面もダビングを重ねる河端の方法論はそのままに、軸足はサイケ・ロックの炸裂ではなくドローン要素の強い、たるっとした重たいムードが漂う。重厚でアジア風の荘厳さを撒いた。
 スピリチュアルや瞑想寄りの抽象的でフリーな世界観が、じわじわとスピーカーから侵食してくる。弛緩や寛ぎとは違う。単調なミニマルの妙味は狙わず、淡々とスリルを積み重ねてエレキギターの歪みが緊張を煽った。

 後年のAMTへ最も近いのがB1か。実際はジャム・セッションに近い。
 冒頭こそシンセがスペイシーかつノービートで沸いて混沌を伺わせるけれど。やがて手数多くまくしたてる、吉田のドラムが変拍子で疾走した。強引に4拍子に割っても聴けるが、たぶん吉田はパルス的にテンポをキープしつつ、拍子感は気にせず叩きのめした。
 従ってダンス・ビート風の盛り上がりでない。さらに吉田はテンポも時に前後へ揺らすため、インプロのスリルが先に立つ。

 津山ががっしりグルーヴを出し、河端はエレキギターを奔放にわななかせた。ムジカ・トランソニックよりもスピード感や骨太さあり。 
 逆にSWRのユーモアも希薄だ。"シルブプレ"と高音テープ処理で叫ぶのはたぶん津山だが、ふざけずにまっとうな即興の応酬に仕立てた。

 初期AMTの貪欲で無節操な幅広さを味わうには、面白い盤。セッション音源の寄せ集めっぽく、アルバムのコンセプトを取りづらいのが逆に興味深く仕上がった。

Track listing:
A 41st Century Splendid Man 14:57
B1 The Creation Of The Human Race 9:23
B2 Dalai Gama 4:43

Personnel:
河端一: violin, sarangi, electric sitar, bowed sitar, zuruna, RDS900
Cotton Casino: vocal
津山篤: bass, synthesizer, bass harmonica
東洋之: synthesizer

(On Side A)
小泉一: percussion
(On Side B)
吉田達也: drums
Yoko: space phone girl (on B2)
Ayano: cosmic companion(on B2)

Recorded at Acid Mothers Temple 1997-98
Produced & engineered by 河端一

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