Colin Hay 「Transcendental Highway」(1998)

 五目味のアルバム。メロウさを漂わせつつ、リズム・ボックスを投入してすっきりしたアルバムに仕立てた。

 自分のレーベルLazy Eyeを立ち上げ、新譜の第二弾で4thソロ。前作から4年後とペースはゆっくりだ。本作の特徴は生演奏にこだわってたコリン・ヘイがエンジニアで共同プロデューサーなDave Daleの意見を取り入れ、打ち込みを導入したところ。そのためビートが硬く、シンプルな響きに方向が動いた。
 
 前作に続き、今もバンド・メンバーの交流が続くChad Fischerも全面参加しており、決してヘイがデジタル・ビートにこだわったわけではない。しかし、さらにパーソナルな路線で本盤を作り上げたのは間違いない。
 ギターだけでなくピアノもヘイはクレジットあり。宅録と思しきLazy Eye Studioで録音された。

 ハーモニーは多重録音を駆使して、厚みを出した。そのわりにスタジオで孤独な作りじゃない。2ndソロ"Wayfaring Sons"(1990)に続き、ロビー・キルゴアを鍵盤で起用など、ある程度はバンド・サウンドも意識してる。ただ、(6)のように個人的な世界も無造作にアルバムへ封じ込めた。(9)はアコギの弾き語りだ。つまり、曲調の方向性に幅を持たせた。
 すなわちソロ・アルバムとして、音楽性の統一感よりも曲ごとの完成度にこだわった。
 
 ヘイは本盤で成熟をみせた。(4)や(5)をシングル・カットして、売れることも意識しながらガツガツしてない。たぶんツアーはきっちりこなしつつ、もっと寛いだ世界をアルバムでは描きたかったのではないか。


 本盤で聴ける楽曲はどれも、ライブで再現をあまり意識してなさそうなアレンジだ。アコースティックからエレキまで振り幅が激しい。

 なにせインストの(8)まである。単なるお遊びでなく、きっちりとしたコリン節。ほんのりプログレ風味だが、テクニック追求ではない。ラウンジっぽい穏やかさあり。BGM業界狙い、じゃなさそうだけど。
 ヘイは何をもくろんでいたのだろう。本盤は五目味だが、少しばかり散漫で静かな出来。そのわりにサウンドはすっきりと整理されている。
 彼のファンとしては、嫌いじゃない。ヘイの節回しは本盤でも健在なため、試行錯誤もしくは集大成な作品と捉えるべきかもしれない。

Track listing:
1 Transcendental Highway
2 Don't Believe You Anymore
3 My Brilliant Feat
4 Goodbye My Red Rose
5 If I Go
6 I'm Doing Fine
7 Wash It All Away
8 Cactus
9 Death Row Conversation
10 I'll Leave The Light On
11 Freedom Calling
12 I Just Don't Think I'll Ever Get Over You

Personnel:
Producer, Mixed By - Colin Hay, Dave Dale
Engineer - Dave Dale

Vocals, Guitar, Piano - Colin Hay

Bagpipes, Backing Vocals - Angus Richardson (on 7, 11), Fergus Richardson (on 7, 11), Hamish Richardson (on 7, 11)
Bass - Dan Rothchild (on 1, 3, 10, 11), Glen Holmen (on 2, 4), Lynne Davis (on 5, 7, 8)
Cello - Martin Tillmann (on 3, 8)
Drums, Percussion, Guitar, Backing Vocals - Chad Fischer (on 3 to 5, 7, 8, 10, 11)
Drums, Percussion, Piano, Backing Vocals - Dave Dale (on 1 to 8, 11)
Harmonium - Ethan Johns (on 1)
Piano - Brother Monell (on 7)
Piano, Organ - Robby Kilgore (on 3 to 5, 7)

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