Colin Hay 「Topanga」(1994)

 コリン・ヘイはくじけない。しぶとく着実な活動を始めた、何度目かのデビュー盤っぽい盤。

 ぼくは他の盤に比べ、少し小粒に感じてしまう盤だ。別の意味で安っぽい低予算に聴こえてしまった。ただ、物悲しさは薄れて明るいムードが滲んではいる。

 アコギの弾き語り低予算な"Peaks And Valleys"(1992)から二年。自分でレーベルLazy Eyeを立ち上げて、初めてのリリースが本盤。このレーベルは文字通り、自分のためだけに作ったようだ。94年から14年まで20年間、Discogを見ると自分のアルバムしか出してない。"Peaks And Valleys"も権利を買い、05年にリイシューしている。

 前作のリリースからメジャー・レーベルとの立ち位置を変えたのかもしれない。心機一転、デビュー盤みたいと冒頭で書いたのはそういう意味。シングル盤を切った記録は見当たらず。地味なセールス形態をとったようだ。
 とはいえ曲りなりにも、元メン・アット・ワーク。ブランドの知名度は残っており、流通は別のレーベルから全世界に販売された。Wikiによるとカナダやドイツ、ブラジルでよく売れたとか。

 本盤は改めてバンド編成を採用した。(2)と(4)は前作のセルフ・カバー。気に入った曲らしく、改めてバンド・サウンドでアレンジし直してる。
 参加ミュージシャンは多彩。元メン・アット・ワークからは一曲だけとはいえ(12)でGreg Hamがサックスを吹いてる。さほど目立ちはしないが。
 2nd"Wayfaring Sons"(1990)時代のバンド・メンバーな三人から二人、Gerry HaleとPaul Gadsbyも数曲で参加した。
 だが基本はメンバーの一新を心掛けたかな。スタジオ・ミュージシャンなのか、新たなバンド・メンバーか、その辺はよくわからない。ドラムのチャド・フィッシャーは本盤をきっかけに、現在まで続くバンド・メンバーでヘイと共演を続けてる。

 ギターの過半数はヘイが弾いてるけれど、ギタリストは他に数人クレジットあり。
 ベーシック録音はLAのTopanga。このときアメリカに移住したらしい。ドラムとギターのベーシックをLAで録音し、ダビングをメルボルンで施したとある。ヘイの姉妹、キャロル・ヘイも数曲でコーラスを取って彼を盛り立てた。
 
 全体的に曲調は明るくなった。甘くなり過ぎない、引き締まったムードはそのままに。パンチ力と広がりある(7)など、キャッチーな曲も収録。ほとんどの曲で聴けるBruce Haymesのオルガンが、温かさを付与して心地よいのどかさだ。カントリー寄りだが、あえてアメリカンに寄り添わない。すこし塩辛さの残るイギリス風味。

 とはいえ全体では、ぎゅっとシンプルなミックスで、派手さはないが分厚い。過去数枚の英国風味より、アメリカ市場の売れ線を意識したふうに聴こえる。
 
 アコギの弾き語りを土台に据えた音作りは変わらない。だがリズムを加え、鍵盤などを加え、足し算で曲に彩りを付けた。過剰ではない。落ち着いて、冷静にコンパクトなバンド・サウンドに仕立てた。
 だから浮ついては無い。なんか、ぼくは地味に聴こえてしまうだけ。改めて聴き返したが、印象はあまり変わらない。全体的に曲が寛いでるせいかな。

 本盤では生演奏のグルーヴ感を生かした。しかし次のアルバムでは打ち込みを導入と、ヘイは洗練された路線に向かう。

Track listing:
1 I Haven't Seen You In A Long Time
2 Into The Cornfields
3 Waiting For My Real Life To Begin
4 Can't Take This Town
5 I Think I Know
6 Against The Tide
7 I Don't Miss You Now
8 She Put The Blame On You
9 Woman's Face
10 Lost Generation
11 Road To Mandalay
12 Ooh, Ooh, Ooh, Ooh Baby

Personnel:
Acoustic Guitar - Colin Hay (on 1 to 6, 8 to 12)
Acoustic Guitar, Keyboards - John Clifforth (on 6)
Bass - Joe Creighton (on 2, 3, 4, 6, 8, 11, 12), Paul Gadsby (on 1, 5, 7, 9, 10)
Cello - Martin Tilmann (on 6)
Drums - Chad Fischer
Fiddle - Gerry Hale (on 9)
Guitar [Baritone] - Colin Hay (on 3, 11)
Guitar [Electric] - Colin Hay (on 1 to 8, 10, 11, 12), Kim Carroll (on 7), Phil Butson (on 5)
Guitar [Slide] - Colin Hay (on 2, 10)
Mandolin - Gerry Hale (on 1)
Organ - Bruce Haymes (on 2 to 5, 7 to 12)
Piano - Bruce Haymes (on 2, 4, 9, 10, 12), Kim Carroll (on 10)
Saxophone - Greg Ham (on 12)
Vocals [Harmony] - Carol Hay (on 1, 2, 3, 8, 11)

The drum and guitar tracks were recorded at Lazy Eye Studios in Topanga.The recording engineer was Micajah Ryan.
The over-dubs and mixes were done in Melbourne at Sing Sing and engineered by Phil Butson.

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