Merzbow配信開始

Ototoyでメルツバウが過去作の配信を開始のニュースと、インタビューが掲載有り。
もともとi-tunesなどでマニアックな作も配信を、かなり以前から行っていたため衝撃は無いが・・・今回のリイシューはOtotoy流の"ALAC、FLAC、WAV、mp3"配信が可能なところか。

ノイズなゆえに幅広い周波数を使っているからこそ、良質な音質でこそ楽しめるというユニークな構造を実感できる、かもしれない。ためしに買っておらず、音質の委細は不明。

ノイズ作品はパッケージに凝った盤や限定盤も多いゆえに配信が馴染まぬ側面もある。数が出ない分、所有欲で確実にファンを囲い込む戦略をとる場合もあるため。でもまあ、メルツバウのファンならあまりその辺は気にしないか。

今回は数百作あるアルバムから、7枚が選ばれた。インタビューによると
『『Turmeric』以外は、わりと世間に知られているメルツバウのタイトルという理由で選びました。(中略)『Turmeric』は最近邦訳が出たポール・ヘガティの「ノイズ / ミュージック」という本で紹介されていたからです。』

その割に今回7作の以下は ReleaseとImportant Records 発表作へ異様に固まった感あり。概観するとアナログ時代の1作とデジタル移行の2枚、ビート強調の"メルツ動物"シリーズ3作に"Turmeric"、な感じ。"Dharma"は比較的埋もれた名作だから、今回でクローズアップは嬉しい。入門的な聴きやすさなら"Merzbeat"かな。

【今回再発の7作】
"Venereology"(米 Release Entertainment 1994)
"Pulse Demon"(米 Release Entertainment ‎1996)
"Dharma"(米 Double H Noise Industries 2001)
"Merzbeat"(米 Important Records 2002)
"Merzbird"(米 Important Records 2004)
"Merzbuddha"(米 Important Records 2005)
"Turmeric" (米 Blossoming Noise 2006)

メルツバウ自身の適切な解説が上記URLで読めるが、せっかくなのでぼくの一行感想も。
"Venereology"(米 Release Entertainment 1994)
 サブカルチャーどっぷりな時代のメルツバウ。凶暴に吼える金属音と咆哮する電気ノイズの疾風を味わえる。

"Pulse Demon"(米 Release Entertainment ‎1996)
 全8曲。コンパクトな作品が並びとっつきやすい。長尺マニアには24分の大作もあり。ハーシュな嵐の一方で多彩なシンセの音色を使用が特徴。いわばスペイシーでメカニカル。

"Dharma"(米 Double H Noise Industries 2001)
 5分前後の3曲に32分の長尺。ピアノがノイズに埋もれる(3)を筆頭に、ラップトップによる音質変換が強烈に味わえる。波形やフィルターを演奏するベクトルが、新鮮で鮮烈に感じた一枚。

"Merzbeat"(米 Important Records 2002)
 ノービート乱打で繊細なうねりにビート性を感じるのがメルツバウの美学と、思い込んでたために驚いた一枚。ループを多用し明確なパターン性を導入した。本作以後、メルツバウはビートもノイズに溶け込ませていく。ハードコア・テクノとも位置付けられる。

"Merzbird"(米 Important Records 2004)
 のちに続々リリースされる"メルツ動物"の一環。やはりビートが強調されて、"Merzbeat"の路線を深化させた。本作の頃は動物好きをアピール、どんどんヴィーガン化にシフトする。
 ハーシュをより細分拡大させたノイズ・オーケストラ的な奥行と多層性を、コンピュータによるくっきりしたミックスで明確に示した。

"Merzbuddha"(米 Important Records 2005)
 酩酊を誘うループ感が特徴。ノイズは耳をつんざくより混沌表現が強い。パターンがじわじわと変貌し、気づくと全く違う世界へ運ばれる。音像の滑らかで緩やかな変身が楽しい。波形いじりの醍醐味だ。

"Turmeric" (米 Blossoming Noise 2006)
 CD4枚組で発表の本盤は、デジタルに飽いたメルツバウがアナログ要素をかぶせた。電子鶏の嘶きがコントロールされた凶暴さだ。デジタルの制御に習熟して容赦ないノイズへ、無秩序なアナログがむしろ穏やかに轟く。
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