Traffic 「Traffic」(1968)

 才人と変人の共演による純粋さとヘンテコの拮抗が面白い一枚。

 名盤と誉れの高いトラフィックの2nd。ドラム、ギター、サックス、ベース/キーボード/ギターと、編成からして変わってる。鍵盤も弦もこなす天才、スティーヴ・ウィンウッドがいてこその構造だろう。今となっては伝説のみで、当時の空気感はよくわからない。当然にして後追いだし。
 ぼくは特にトラフィックをまじめに聴いてない。本盤とあと数枚を耳にしただけ。ウィンウッドもさほど思い入れ無し。もともとはトラッドに興味持った時、ライノのコンピで4th"John Barleycorn Must Die"(1970)を聴いたのがきっかけ。もちろんトラフィックの名前くらいは知ってたが。

 どういうきっかけだっけな。とにかくこの盤は聴いた。夢中にはならなかった。もともとロックは苦手だし。だがなんとなく気になって、折に触れ本盤は聴き返してる。今回もふっと聴き返したら、あまりの対比構造が面白くて。本稿を書きたくなった。

 全10曲。メイソンとウィンウッド、それぞれがイニシアティブを取った楽曲が、ほぼ交互に並ぶ。ブルーズを下敷きに端正なウィンウッドのスタイルと、どこか豪放でのどかなメイソンの対比構造が興味深い。
 
 この時代はタイトな演奏って概念が今とは全く違う。今の耳で聴くと、正直アンサンブルは荒い。キャパルディの硬いビートも、アンサンブルの生硬さに拍車をかける。
 しかしウィンウッドが主導権取った楽曲は、かなり演奏がタイト。ガイド・リズムなりを入れてたとしても、クリックなんてない時代だ。抜群のリズム感とテクニックあってこそと分かる。英語のWikiを見ると、曲ごとに誰が何を弾いてるかクレジットある。
https://en.wikipedia.org/wiki/Traffic_(Traffic_album)

 対照的にメイソンのテイクは違う。どっか奔放で荒っぽい。リズムもフレーズも危なっかしく、崩れかけてる。それが不思議に柔らかい味になった。楽曲もしっかりして時にブルージーなウィンウッドに比べて、鮮やかな明るさをメイソンの作品は漂わせた。

 録音はうっすらサイケで、さりげなく手が込んでいる。たとえば(2)はギターを複数、ウィンウッドはかぶせてフレーズを分け、揺らしをかけてるようだ。他の曲でもエコー感や楽器のダビングに工夫を凝らし、単に弾いてみた、だけではない。

 不思議なアルバムだ。楽曲の出来や演奏の仕上がりとは別次元で、ウィンウッドの安定感や冴えと、メイソンの鮮やかで危なっかしさが良い感じで混ざってる。

Track listing:
A1 You Can All Join In
A2 Pearly Queen
A3 Don't Be Sad
A4 Who Knows What Tomorrow May Bring
A5 Feelin' Alright?
B1 Vagabond Virgin
B2 Forty Thousand Headmen
B3 Cryin' To Be Heard
B4 No Time To Live
B5 Means To An End

Written-By Mason (tracks: A1, A3, A5, B1, B3), Capaldi (tracks: A2, A4, B1, B2, B4, B5), Winwood (tracks: A2, A4, B2, B4, B5)

Performer Chris Wood , Dave Mason, Steve Winwood,Jim Capaldi

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