A Place In Heaven (1986)【Prince未発表曲】

 切ないメロディがキュートに浮かんでは沈む、素朴なリズムを上手く使ったきれいな曲。

 頓挫した"Dream Factory"プロジェクトの候補曲で録音された。リサ・コールマンがボーカルを取る音源と、よりデモっぽい音質でプリンスの歌ががっつり目立つバージョンが流出済み。後者は冒頭で小芝居があり唸り声を入れるなど、奇妙にストーリー仕立てになってる。今回貼ったのはコールマンのバージョン。プリンスのバージョンもYoutubeで見かけたが、いつしか消えていた。

 ピアノとリズム・ボックスで素朴に録られた音源で、途中にハープシコード音色の鍵盤が彩りを添えた。でも、それだけ。ハーモニーで厚みを出している。
 きっちり"Dream Factory"の候補曲として残り続けたわりに、簡素なサウンドだ。他の候補曲はそれなりにレコーディングやアレンジされてるのに。
 別にゴージャスなアレンジが必須ではないし、この時期のプリンスは引き算の美学を優先させていた。もしかしたらアルバムの清涼剤として、敢えてシンプルなアレンジを採用したのかもしれない。

 ピアノが入り、ファルセットでメロディが奏でられると、美しくもセンチメンタルな風景が柔らかく浮かぶ鮮やかさが広がった。
 このロマンティックで可愛らしい雰囲気が格別だ。"Parade"の耽美や退廃風味を上手い具合に洗練させ、ナルシスティックだがお花畑の華やかさは客観視されている。
 
 すなわち、飾りすぎず素朴なリズムを軸にした簡素なアレンジが、いたずらに感情過多にならずクールさを保った美しい小品に本曲をまとめた。

関連記事

コメント

非公開コメント