Fuchsia Light (1988)【Prince未発表曲】

 打ち込みビートが複数重なる、シンプルで奥行きあるファンク。

 88年の録音で、Prince Vaultによるとペイズリー・パークの契約歌手、Tony LeMansの1st"Tony LeMans"用に録音とも言われる。だがアルバムへ収録に至らなかった。

 
 タイトルのFuchsiaとは赤紫色のこと。P-Funkの"Flush Light"のもじりかと思ったが、特にそれらしき感じは伺えない。ホーンが中盤で動く以外は、打ち込みのリズムが飛び交うデモっぽいテイク。
 鍵盤の一部は手弾きだが、あとはほとんどリズム・ボックスを流しっぱなしの感じ。けれどもいくつもパターンを併行させて、ビートには複雑さを出す。さらにホーンで味付け、コーラスを幾層にもかぶせる手はかけている。

 あまり派手な動きは無く淡々とした仕上がりで、なおかつドラムが80年代らしいゲート・エコー感漂うどっしりしつつも派手な音色のため、今では少しばかり古びてしまった。
 5分過ぎはインストでリズムが乗る中、ホーン隊のみがソロともリフとも取れる動きを続ける。この最後、1分半ほどの展開がオマケっぽい。アイディアをメモ的にいくつか足して途中で放り出したような音源だ。そのわりにエンディングはきっちりとカットアウトするのがにくい。

 ビートのパターンは"Sign o'the times"や"Alphabet St."に通じる、ひとつながりのパターンが繋がるミニマル寄りのもの。
 歌はまるでトラックに合わせ次々と浮かぶメロディを口ずさみ、ハーモニーでかぶせてるような奔放さも感じた。ぴたり吸い付く多重ボーカルのタイミングと、不穏な和音感がまさにプリンス印。
 地味な曲とは思うが、繰り返し聴いてるとけっこう癖になる。

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