The Brecker Brothers 「Heavy Metal Be-Bop」(1978)

 分かりやすく派手で豪快に盛り上げたフュージョンのアルバム。

 テリー・ボッジオのドラムを筆頭にグッとロックなアプローチへ寄り、豪快かつ直感的にストレートなロックとのクロスオーバーを決めたライブ盤。当時の評価は知らないが、少なくとも観客は盛り上がっている。確かに目の前でいきなりこれを予備知識なしにブチかまされたら、さぞかし痛快だったろう。

 ブレッカー・ブラザーズの4thアルバムにあたる。ベースがウィル・リーからニール・ジェイソン、ドラムを前作までのスティーヴ・ガッドらからテリー・ボッジオへとリズム隊を一新させた。
 さらに鍵盤奏者を抜き、バリー・フィナティを新鋭のギタリストと迎える。
 要は、バックバンドのメンバーを総とっかえ。よりパワフルなアンサンブルに変えた。この志向は本盤のみ、次の盤ではベースのジェイソンは残るものの、ボッジオもフィナティも外れてしまう。
 フィナティはブレッカー兄弟の5th"Straphangin'"(1981)で再び共演するも、ボッジオは結局、本盤のみの邂逅となった。
 本路線が思ったより売れなかったためか、それともこの盤があだ花な兄弟の気まぐれだったのか。

 収録曲は6曲で(3)(4)が1st,(5)(6)が3rdからと、バンドを変えつつも演奏曲は過去と連結させた。つまり新曲は2曲のみ。(1)だけNYのPower Stationでスタジオ録音された。ここでボッジオは叩いてるの?重たいビートがずしんと響く。アラン・シュワルツバーグのみのドラムにも聴こえた。

 残る曲がNYのMy Father's Placeでのライブがベーシック録音。ここはキャパ400人程度の小箱でロック系の演奏が多かったらしい。
http://www.myfathersplace.com/
 冒頭からいきなり、ボッジオのちょっと引っ掛ける軽快で前のめりのビートが炸裂した。
 
 ブレッカー・ブラザーズが当時狙ったのは、観客層の拡大か。ふたりともトランペットやサックスにワウをかけて硬質な響きを貫いた。マイルスを意識かな。大人の寛ぎよりは派手な熱狂を狙いながら、ところどころでメロウなフレーズが顔を出す。
 なお(5)など背後で鍵盤が聴こえる。ランディが演奏らしいが、これはリアルタイムで弾き変えかな。ダビングにしてはきっちりアンサンブルに結び付いてる。

 やはり本盤はボッジオのドラムが目立つけれど、手数芸人として自らに期待された役割をきっちりこなした。録音時期が不明だが78年頃の収録ならばまだ、ボッジオはザッパのバンドにいたころ。スポット的な競演だったのかも。
 基本は隙間を埋め尽くして、押しまくるドラムな一方、(5)で一歩引いたりと空気を読んでいる。(6)ではうっすらラテン風味のダンディで器用なドラムも聴かせた。とはいえどの曲でも、いわゆるジャズの枠には乗らない。

 ベースとギターがどちらかと言えばフュージョン寄りか。ボッジオの小刻みなビートって異物をあえて挿入し、斬新さがブレッカー兄弟の狙いだったのかも。

 テクニカルなリズムの奔流に振り回されながらベースの着実なビートを足掛かりに、痛快なサックスとトランペットのアドリブ応酬が聴きどころ。
 チョッパーの音色や、エフェクタ噛ませた管に時代の古びを感じてしまうけれど。

 (1)でジェイソンが歌う以外はインスト。歯切れ良いテクニカルなホーン隊のフレーズを、さらにしなやかに切り取るリズム。爽やかですっきりしたアンサンブルが本盤の聴きどころ。
 僕はザッパ・ファンでフュージョンは詳しくないため、どうしてもドラムに耳が行ってしまう。連打しっぱなしに聴こえながら、すっとときおり抜くスティックさばきの鮮やかなことったらない。この辺は書き譜でなく、ボッジオのセンスかな。

 ブレッカーの生前は叶わなかったが、近年の再演ブームに乗って2014年11月に川崎クラブ・チッタで再演コンサートが行われた。リズム隊は本盤のメンバーが揃い、パーカッション抜きのクインテット編成にて。ブレッカーの代役はランディの妻、アダ・ロヴァッティが務めてる。
 その時のライブ盤も2016年に2枚組で発売ずみ。若かりし勢いと時代の流れあってこその本盤とも思うが、約35年たった当時に、年輪重ねたメンバーで再演も一興か。
 

Personnel:
Randy Brecker - electric trumpet and keyboards
Michael Brecker - electric tenor saxophone
Barry Finnerty - guitars, guitorganiser, background vocals
Terry Bozzio - drums, background vocals
Neil Jason - bass, lead vocals
Sammy Figueroa - percussion
Rafael Cruz - percussion

Additional musicians on "East River"
Kash Monet - handclaps, percussion, backing vocals
Paul Schaeffer - Fender Rhodes
Victoria - tambourine
Jeff Schoen - backing vocals
Roy Herring - backing vocals
Allan Schwartzberg - drums
Bob Clearmountain - handclaps

Recorded live at My Father's Place, Roslyn, Long Island. Overdubs and live mixes at Sigma Sound Studios, N.Y.
Track A1 recorded at the Power Station, N.Y. and remixed at House Of Music, West Orange, N.J.

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