Captain Howdy 「Money Feeds My Music Machine」(1998)

 大真面目にふざけた、クレイマーの冗談ユニットの2nd。いまいち覇気が無い。

 アメリカのマジシャンPenn Jilletteと組んだクレイマーのユニット、キャプテン・ハウディ。"Tattoo of Blood"(1996)から2年ぶりにリリース、最終作となった。ジレットが97年にラスベガスへ移住しバンド活動が不可能になったためという。
 シミーが身売り後のニッティング・ファクトリー傘下になってからリリースされた。

 このバンド、どこまでクレイマーがまじめに活動を考えていたか謎だ。経営が傾くシミーディスクのテコ入れとして、知名度ある芸能人を招いて疑似ユニット作ったのではないかと疑っている。ペン・ジレットの北米で知名度がどのくらいか、いまいちイメージわかないのだが。

 ジレットは音楽活動にさほど関心持ってたとは思えない。本バンドの以前も以後も目立った活動は見つけられず。本盤でも音楽面はクレイマーに丸投げし、歌だけを担当した。多重録音のボーカルで厚みを出す声は、味があって悪くない。それなりにいい声だけど。
 本盤は11曲入りで演奏はすべてクレイマー。ドラムはCurlewなどに参加しクレイマーとは馴染みのBill Baconがサポートしてる。
 他には声優で有名なBilly Westがギターでゲスト参加し、子役だったTess Mattissonが(4)で声をかぶせた。話題作り、かなあ。
 
 録音クレジットは95~97年とえらく幅がある。じっくりスタジオに籠ったというより、前作のアウトテイクに、新曲を足したってことだろう。
 
 2曲のカバーあり、ルー・ジョンソンが64年に小ヒットを飛ばした(1)と、"Harvest"(1972)に収録なニール・ヤングのカバー(3)。今一つ脈絡が不明だ。ジレットの好みかな。
 あとはすべてオリジナル。(2)(4)(6)(11)がクレイマーの単独作とクレジットされた。(5)と(7)~(9)がジレットとクレイマーの共作名義、(10)はジレットの単独名義だ。
 (10)は典型的なロックンロール・スタイル。個性は見出しづらい。ちょっとテンポを落としてあっさりとクレイマーはアレンジした。

 クレイマーのオリジナル曲は当時の彼が得意としてた、一つのフレーズを繰り返し。その中で微妙にバックの演奏を変えて、知らずしらずに引き込むスタイル。逆に曲へメリハリ無いだけに、歌の専門家でないジレットに優しい作りになってる。

 ほんのりサイケ・ポップ。しかしインプロに凝るわけでもなく、ドラッギーな酩酊さも低い。比較的あっさりした出来だ。ただしアレンジはしっかり練られており、クレイマーの多重録音によるチープだが味のある分厚さを持ったサウンドは楽しめる。滑らかなベースもあちこちで聴けた。

 エレキギターが吼える場面は少ないが、ベースを軸に温かいフォーク寄りな音像に仕立てた。ここへコラージュ的な音像を足すのがクレイマーの得意技。
 一方で(7)のように語り中心のミニマルな世界観も同居して、奇妙な不安定さがアルバムには漂う。

 いわゆるキャッチーな名曲は無い。しかしドリーミーな(6)やほんのりカンタベリー・プログレ風味のリズム・ボックスが弾む可愛らしい(11)は佳曲だ。
 
 総じて自己主張しようと試みつつ、思うに任せなかった中途半端に小粒なアルバム。マニア向けだが、繰り返し聴いてると悪くもない仕上がりだな。

Track listing:
1 Always Something There To Remind Me 3:43
2 I Just Don't Wanna Try 4:12
3 Old Man 4:11
4 Man Bites Dog 2:22
5 If You Love Me, Kill Your Dog 3:35
6 I Just Wanna Get Laid 3:37
7 I Long For Kyoto 3:07
8 Don't Fuck With The Phoenix 2:59
9 Shut Up 3:20
10 Radio's Broke 3:25
11 Barry's Lament 5:31

Personnel:
Penn Jillette - vocals
Kramer - instruments, vocals, production, engineering

Bill Bacon - percussion
Tess Mattisson - vocals (4)
Billy West - guitar

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