Ronald Shannon Jackson 「Red Warrior」(1990)

 骨太なエレキギターが数本、並行で吼える。ドラムはシンバル連打で爆走した。しかしきっちりとコントロールされている。

 たぶん15枚目のリーダー作。オーネット・コールマンを皮切りに、セシル・テイラーなどと共演したロナルド・シャノン・ジャクソン。
 ぼくが存在を知ったのは85年くらいにフリージャズへ興味を持ったころ。前世代でありながら、プライム・タイムのメンバーで、崩しでなく鋭さで次世代のフリージャズをびしばし叩く人ってイメージ。

 他にはラスト・エグジットに参加、ビル・ラズウェルの一派としてリアルタイムのジャズを作ってた人な位置づけになる。レココレ誌で高評価あった、Music Revelation Ensembleを聴いたものだ。つまりは伝統芸でなく、新しさを作ってた人って印象だった。
 のちにぼくの興味は西荻ジャズに向かったため、あまり熱心に彼のアルバムを聴いたわけではないが、断片的に何枚かは齧った。これもそんな一枚。

 スタジオ盤で言うと"Texas"(1987)の数年後、Caravan of Dreamsからレーベルを変えてAxiomよりリリースしたのが本盤。結局ワンショットで終わり、次の"Raven Roc"(1992)は日本のDIWから発売となる。
 "Texas"と"Raven Roc"、双方が79年から10年続けた自分のバンドなDecoding Society名義。合間でふっとソロ名義なリーダー作となった。参加メンバーも一新してる。

 この時代、フュージョンでないジャズはけっこう、生きづらかったのではないか。バブル真っ盛りで狂騒的な時代、実験がセールスに乗ればリリースのハードルは低かろうが、真剣さはどうにも世相にそぐわなかった。

 全6曲、全てジャクソンのオリジナル。ビル・ラズウェルをプロデューサーに据え、エレキギターがぶいぶいと鳴るヘビメタ寄りなジャズを仕立てた。
 プログレの構築美は無いが、フリーでなくきっちり譜面を立てている。ジャズ・ロックと言えるが、ルーズなグルーヴは無い。
 手数多くタイトに決めながら、ちょっとサイケ。しかし怠惰には流れず、野太い迫力を出す。15年、早かった。カントリー要素は皆無だが、ジャム・バンド的な文脈に乗れたら浮かぶ瀬もあったろう。

 ギターが三人、ベースが二人のクレジット。ギターが数本聴こえるが、完全にセッションかは分からない。あとでソロだけダビングっぽい、妙に硬質なアンサンブルの場面もあり。
 文字通り捉えればベースとギターを複数立てて、複層的な厚みあるアンサンブルを志向したともとれるが。The Decoding Societyとは別次元の実験的なスタジオ盤だろうか。この編成でツアーしたのかもしれない。

 スティーヴィー・サラスを筆頭に、思い切りクリーンなハードロックの疾走。ぐにゃっと歪む漆黒のグルーヴ。それらが混在する。疾走一辺倒でもないし、タメに走りもしない。
 歪んだエレキギターのハイテクなソロを前面に押し立てるも、根底はファンクが漂う。勢い一発でなく変拍子のカッチリ固めた理性を保ちつつ。

 手数多く叩きのめすドラムは、確かにアンサンブルを強固に支えた。けれども無闇に自己主張や押しつけをせず、全体のノリを貪欲に吸収してセッションを楽しんでるかのよう。
 いわゆるテーマからソロ回しって単純な構成でもない。フリーに全員が音を出しまくるのでなく、いちおう順番なりメリハリなりで、それぞれの見せ場が現れる格好だ。ただそれが、小節数のお約束でつながらず楽曲のコンセプトで立てるメンバーを変えてるっぽい。

 今でも古びない。フリーなところが手なりで進んでしまい、少しもっさりした感触があるくらい。もっとこの辺はコントロールして締めたら、すっきりしたかもしれない。
 だが剛腕で迫力ある演奏と、クリーンな風景の爽快感は本盤の美味しい味わいだ。

 ドラムが疾走してギターが緩やかなフレーズを作り、リズムの鋭さを強調する場面が、いかにもドラマーのリーダー作っぽい。さらに複数ギターが無造作に鳴り倒すことで、賑やかで雑駁なサウンドが荒々しい力を演出した。



Track listing:
1 Red Warrior 4:43
2 Ashes 4:40
3 Gate To Heaven 5:14
4 In Every Face 6:06
5 Elders 13:33
6 What's Not Said 4:15

Bass - Conrad Mathieu, Ramon Pooser
Drums - Ronald Shannon Jackson
Guitar - Jack DeSalvo, Jef Lee Johnson, Stevie Salas
Producer - Bill Laswell, Ronald Shannon Jackson

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