Acid Mothers Temple & The Cosmic Inferno 「Demons From Nipples」(2005)

 緩やかにうねり続ける長尺1曲と、グルーヴィさ強調の1曲。果てしないテンションの持続が特徴だ。

 アシッド・マザーズ・テンプル&コズミック・インフェルノのデビュー初年度6枚連続リリースの第六弾。ポーランドのレーベルで、日本のこの手のジャンルを積極リリースなイメージある、Vivoから発売された。
 2ドラムで長尺パワー・サイケがコンセプト、田畑満がベースなこの地獄組の本盤は、(1)が40分弱で(2)が13分程度とある意味アンバランスな構成となった。

 初手から漆黒のミドル・テンポな世界が開放される。みっちり詰まった音像は周波数で楽器を分けるようなミックス。ドラムはハイハットの打音とシンバルを強調し、低音成分はばっさりカットした。
 ならばベースはというと、蠢く音列は分かるけれど。モコモコ這うグルーヴの芯ながら、サウンドの主体とは言い難い。

 主役を張るのは中域のシンセとエレキギター。突出はしない。低/高域とフラットな聴感ながら。音がふくよかな板状に迫ってくる。音圧の感じだと、ハイが強い。シンバルがきれいにはじけて、爽やかな混沌だ。迫力よりもスマートな尖りを感じる。この辺はマスタリングの吉田達也の趣味かもしれない。

 なお河端の演奏楽器でクレジットのRDS-900とは、検索してもパッと出てこない。シンセかな。軋むようなイーリアン・パイプスでJames Annisもゲスト参加した。イーリアン・パイプスとは、こういう楽器。


 (1)はセッション一発の長尺に、ギターなどをダビングかな。ソロを取るのはギター数本とシンセ。ソロ回しでなく同時進行で流れた。
 モード・ジャズのようにパターン一発で延々と持続して、メロディや和音で展開はしない。足を止めて打ち合うかのよう。

 ミックスはパンをやんわり施し、決して配置してほったらかしではない。凝っている。
 シンセやギターのバランスを局面ごとに変えて、主役を決めつけないよう混ぜてみせた。逆にドラムはきっちり左右に配置。ベースは中央から動かない。きれいな三角形の上で、ギター数本とシンセの三体が蠢いた。
 そこへ田畑の即興ボーカルが溢れる。津山と同様の奔放で少しユーモラスな歌い回し。けれどトラッド色は津山ほどなく、もう少しハードロック寄りかも。

 (1)は延々とテンションが変わらない。20分過ぎにようやく、少し加速した。そして30分近くなったら緩やかにテンションが加工してきた。疲れでなく、高まりを静めるかのように。
 じっくりとコーダに向かい蠢いたあと、フェイドアウト気味に止まる。

 間髪入れず景気の良いドラム・ロールなイントロの(2)に。こちらはドラムの質感がいくぶん生々しく鳴った。ミックス・バランスが(1)と明確に異なっている。
 ハードコアに畳みかけるサイケで、音圧はいくぶん中域が太い。テンションはやはり最初からマックス。こっちのミックスがぼくの好み。

 ベースが太く暴れ続け、まずはギターのソロがメイン。しだいにシンセが存在感を増すやはり進行に沿って楽器バランスが変わるミックスだ。これまたカッコいい。
 
 どちらもヘッドフォンのほうが、細かい音の動きを楽しめる。いや、むしろ邪道か。シンプルなスピーカー・セットの轟音で、うごうご炸裂するパワフルさを楽しむのが本筋かもしれない。


Track listing:
1 Demons From Nipples 39:10
2 5 Seconds Demon 12:49

Personnel: 
河端一 : guitar, RDS-900, speed guru
田畑満 : bass, vocals, maratab
東洋之 : electronics, dancin'king
志村浩二 : drums, latino cool
岡野太 : drums, god speed

James Annis : uilleann pipe

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