Momus 「Folktronic」(2001)

 16thソロは、フォークトロニカを意図的に追及した。どうにも曲調は重い。

 そもそもモーマスはキャリアを重ねるにつれ、アンサンブルは簡素になった。低予算ゆえか、さっさと作り上げる性急さゆえか。デモテープ並みのエレクトロ・ポップなイメージが強い。けっして投げやりでなく、アレンジはそれぞれ凝っているのだが。アレンジには無理に凝らず、あっさり仕上げてる。

 本盤ではエレクトロニカにフォークなタッチを取り入れたサブ・ジャンル、フォークトロニカをテーマに据えた。デビュー初期はフォーク寄り、それがエレクトロに傾倒するモーマスのキャリア振り返りっぽくもある。Wikiによるとフォークトロニカが産まれたのは00年頃。モーマスは「俺が元祖だ」と思い、敢えて作ったのかも。

 当時、(1)(2)(3)(7)(10)(14)の (Chinese Whispers Version)入りボーナス・ディスクがついた日本盤も出た。未聴のため、どんな内容かは知らない。
 そもそも本盤は、発売の前年にニューヨークにて00/10/13~11/11まで行われた展示が元となっている。本盤収録の楽曲をカラオケで歌い、音盤として入手するって企画もあったらしい。現代アートっぽかったのかな。
 当時の展示を紹介のページと、NYタイムズのレビュー・ページが残っていた。

 全20曲と相変わらずのボリュームだ。サウンドは打ち込みを基調に、たまにギターが重ねられる。リズムは打ち込み。簡素で素朴なエレクトロニカ。
 カントリー風のアレンジも数曲あり、イギリス人ながら北米文化もあるていど意識した。
 全体の印象は暗い。ボーカルの音域が低く、ウィスパー気味の歌い方もさることながら、メロディの起伏は抑え気味で、アレンジの音色も淡々としているため。

 細かく聴くとアレンジは決して投げっぱなしでないのだが。とにかくアイディアをぱっとまとめた感じ。
 なお(11)は松田聖子を思わせるフレーズを挿入した。(13)で引用はヨーロッパの"The final countdown"か。もっと聴きこんだら他にも小技があるかも。
 (17)は三味線ふうの音色と、和風リズムが溢れる。既に日本へ興味あったのか。
 ちなみに(20)はカヒミ・カリィ"TILT"(2000)に提供曲。

 デジタル・シンセの安っぽい響きが充満し、ふらふらと重心軽く揺れるアルバムだ。



Track listing:
01 Appalachia 2:08
02 Smooth Folk Singer 2:55
03 Mountain Music 2:14
04 Simple Men 2:32
05 Finnegan The Folk Hero 3:24
06 Protestant Art 3:37
07 U.S. Knitting 3:46
08 Jarre In Hicksville 2:44
09 Tape Recorder Man 3:47
10 Little Apples 3:06
11 Robocowboys 3:12
12 Psychopathia Sexualis 3:55
13 Folk Me Amadeus 4:12
14 Handheld 1:43
15 The Penis Song 3:13
16 Heliogabalus 2:55
17 Going For A Walk With A Line 3:36
18 The Lady Of Shalott 3:58
19 Mistaken Memories Of Medieval Manhattan 4:25
20 Pygmalism 5:48

Recorded at the Fakeways Institute, New York City, June - September 2000

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