Momus 「The Poison Boyfriend」(1987)

 売れ線狙いか、いくぶんアレンジがポップになった2ndソロ。

 1stのエルからクリエーションに移籍した最初のアルバム。前作から引き継がれたアコースティックなアレンジもあるが、さらにシンセなどで補強され、より華やかな響き。
 とはいえ明瞭にならず、どこか退廃的で内省性を持つモーマスの個性は崩れていない。
 数曲では当時でもすでに少しばかり古めかしい、80年代前半のエレクトロ・ポップなバンド路線を採用した。クレジットを見ると全楽器にミュージシャンが記載され、いかにもバンド・サウンドっぽい。
 ところが曲によってはリズムボックスを使い、パーソナルな面持ち。レーベル側のセールス要請と、モーマスの落としどころが粗削りに混ざった感じ。散漫とは言わない。よくできたアルバムと思う。けれども統一性はない。

 ギターもエレクトリックな要素が漂い、鍵盤の比重も上がった。前作よりぐっとサウンドは洗練されてる。生楽器の素朴さから、エレクトロの比重が高まる。とはいえ後年に比べたら、まだまだ。ギターが強く響く生演奏の印象が強い。
 リズムはシンプル。バスキング風味の欧州寄りなアプローチが残り、退廃性は味付け程度。変態性の発露には至ってない。

 作曲は投げっぱなしでなく、きちんとまとめようとしてる。そのぶん少し小粒な印象もあり。ぼくは淡々と溶け落ちるように語り掛ける(8)が一番、印象深い。やはりモーマスには不健康さが似合う。

 参加したミュージシャンの経歴は不明だが、鍵盤のDean KleratはThe Academy Of Fine Popular Musicの出身、らしい。このバンドはフェアグラウンド・アトラクションのエディ・リーダーやMark E Nevinが在籍してた。

 プロデューサーのJulian Standenもこの時点では売り出し中。エンジニアからプロデューサーへ転換の初期にあたるようだ。本盤に先立ち、モーマスの12" "Murderers, The Hope Of Women "(1985)のプロダクションを担当の縁で、本盤にも関わったもよう。
 のちに彼はスコットランドのスープ・ドラゴンズを筆頭に、数々の英インディ・ポップのプロデューサーでクレジットあり。

Track listing:
1. The Gatecrasher 4:58
2. Violets 4:56
3. Islington John 5:15
4. Three Wars 5:46
5. Flame Into Being 5:22
6. Situation Comedy Blues 3:48
7. Sex For The Disabled 4:51
8. Closer To You 7:32

Personnel:
Vocals - Momus
Bass - Fein O'Lochlainn
Drums - Terry Neilson
Keyboards - Dean Klerat
Percussion - Arun G. Shendurnikar
Producer - Julian Standen


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