Acid Mothers Temple & The Melting Paraiso U.F.O. 「Are We Experimental?」(2009)

 ゲストは招かず、コラージュ要素や実験音楽まっすぐな盤。

 前作"Dark Side of the Black Moon: What Planet Are We On?"(2009)と同じ09年2月の録音。"Dark Side~"がシンプルにロックの盛り上がりを追求としたら、本盤はスタジオ録音ならではの凝った技を施した楽曲が並んだ。
 タイトル通りジミヘンの音楽を意識したのか、単に実験的な曲を並べたのかはうまくコメントできない。
 
 少なくとも本盤は、バンドのダイナミズムが第一優先ではない。むしろ河端や津山の作曲術が主役だ。プログレや電子音楽の要素もあり。趣味性を追求した。
 バンドでクレジットされた楽曲もあるが、ほとんどは河端や津山の単独作曲な名義。
 全11曲、長尺は控えアイディアを次々と披露する。

 取っつき悪くはない。大真面目にヘンテコな音楽が詰まる一方で、突き放す冷たい孤独さは無く、親しみや茶目っ気が漂う。この辺がAMTの特徴だろう。
 いちおうのグルーヴ感はある一方で、奔放にダビングを重ねてシンプルなビート感からはずれている面白さが魅力だ。

 フルートやリコーダーの素朴で甲高い音色がアルバム全体に漂い、野太いベースが支えた。ドラムは着実ながら、時にエフェクト処理されリズムを怪しく揺さぶる。逆回転処理などのアレンジは河端のアイディアか。
 東は逆に一歩引いてシンセ演奏に徹し、作曲クレジットが無い。志村も単独名義の曲は無いが、ジャム演奏っぽい楽曲では共作者と記されてる。

 なお本盤は徹頭徹尾が実験ではない。数曲はアシッド・マザーズ・テンプルならではの混沌で疾走するセッションもあり。こういうところが河端のバランス感覚であり、関西ならではのサービス精神と思う。たぶん東京のバンドなら、実験性一本やりでシンプルに仕上げてる。

 ちなみにジャム的な演奏でも一発録りにとどめず、さらにギターなどをダビングし複雑さと厚みを増やした。
 
 アルバム全体はとっちらかるほど奔放なため、AMTのなんでもありな方向性を味わうには良い。加速して高まる演奏のカタルシスに溺れたいなら、ちょっと違うかな。ペースチェンジの嵐なため。
 ハマってくると、この貪欲なすべてを飲み込む懐深さにもしびれるのだが。

Track listing:
1. E.S.P. (Experimental Spooky Peace) 4:25
2. 4000000000000000 Love Hotel 6:51
3. Daruma Clause In Oppostion 7:26
4. Wired Stinky Pussy Luver 7:15
5. Hallelujah Mystic Garden 1:31
6. Iyomange Of The Rising Sun 5:03
7. Close Encounters Of The Electric Spirits 2:44
8. Holy Rock'n'Roll Bible 6:43
9. Goodbye Big Asshole Emmanuelle 3:38
10. Ultimate Unhip Blues 8:09
11. Are We Experimental? 3:15

Personnel:
河端一 - electric guitar, guitar synthesizer, organ, sitar, electronics, tape, speed guru
津山篤 - monster bass, voice, acoustic guitar, ukulele, flute, soprano recorder, cosmic joker
志村浩二 - Drums, Latino Cool
東洋之 - Synthesizer, Dancin' King

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