Acid Mothers Temple & The Melting Paraiso U.F.O. 「Dark Side of the Black Moon: What Planet Are We On?」

 がっつりアシッド・サイケで幻夢な世界をハードに追及した、痛快な一枚。

 アシッド・マザーズ・テンプルの入門編に適してるかも。スタジオの緻密さとライブの迫力、双方が良いバランスで混ざった。できればヘッドフォン使って轟音で聴いて欲しい。細かいミックスの工夫がよくわかる。
 もちろん体でロックなノリを浴びて問答無用に盛り上がるのも、まっとうな味わい方ながら。

 タイトルはピンク・フロイドのシャレと思うが、音楽性は全く異なる。トータル・アルバム性や短い楽曲の積み上げではない。極端な長尺寄りではないが、それでもじっくりジャムった曲が並んだ。
 メンバー4人のみの作品。だが単なる一発録りではない。ギターやシンセは最低二本重ねられ、あちこちにダビングも多数。ベーシックは即興だとしても、そこへ次々音を足して複雑かつ、剛腕なロックに仕上げた。

 河端によるミックスも丁寧だ。シンセやギターを細かくパンさせ、楽器バランスも曲中で頻繁に変わっていく。幻想さとドラッギーな酩酊性を強調しながら、根底にあるのはスカムなむちゃくちゃではなく、きっちりと盛り上がるロックの味がある。

 津山の即興的な歌声は英トラッド風の古めかしさと、諧謔の双方を持つ。飛び交うシンセと弦楽器はどちらが主役かわからず、激しく音が絡み合った。その混沌を津山の歌が、時にしっかりと、時にはさらに危うさを増す。

 本盤は河端のブーズーキもいい味を出している。歪んだギターの合間に鋭く細い弦楽器が足され、音楽にエキゾティックな味わいを足した。
 
 アルバムは力押し一辺倒の構成でもない。
 津山の色が強く出た(3)は、アコースティック・ギターがイントロ。たちまちシンセやエレキギターのダビングでサイケさを増すけれど、アルバムの流れとしては、良いメリハリになった。
 そして小気味よく盛り上がる(4)につなげるんだから。構成が実ににくい。かっこよさを効果的に提示してる。

 シンバルの一定せぬ音色を筆頭にパワフルで荒々しいドラムと、頼もしく強靭なベースが産むぶれないリズムを基礎に、ギターとシンセが暴れる。そしてテンションはジワジワ加速。
 宗家の魅力が単純明快な形で玉成したアルバムといえる。
 スタジオ盤は凝る場合も多いため、こういうライブでの魅力をシンプルに封じ込めたアプローチは貴重だ。
 
 CDは5曲入りだがLPは2枚組。LPのほうが2曲多い。LPは"heavy duty Stoughton gatefold jacket"と銘打ちリリースされ、それぞれ100枚限定で透明なものと青い盤の二種類、さらに通常版の黒い盤があるらしい。コレクター泣かせというか、グッズとして割り切るしたたかさか。
 
Track listing:
1. Space Labyrinth Or Eclipse On Friday 13:41
2. Astro Kama Sutra : Take Me To The Outer Limits 6:53
3. Blessing Of The Load Galaxy 3:59
4. Space A Go Go 8:05
5. Dark Side Of The Black Moon 17:05

Personnel:
河端一 - Electric Guitar, Bouzouki, Sitar], Violin, Speed Guru
津山篤 - Monster Bass, Voice, Acoustic Guitar, Cosmic Joker
志村浩二 - Drums, Latino Cool
東洋之 - Synthesizer, Dancin' King

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