Acid Mothers Temple & The Cosmic Inferno 「Just Another Band From The Cosmic Inferno」(2005)

 地獄組がデビューした年に発売の4thアルバム、らしい。実質はデビュー盤かな?初手から全開で突き進む。

 ベースが津山篤でなく田畑満って布陣が、アシッド・マザーズ・テンプル&コズミック・インフェルノでいいのかな。あとは2ドラム編成。みっちり詰まった音像は、あまり2ドラムのダイナミズムや対決構造は聴き取れない。団子で大きなうねりを作る。
 シンセのスペイシーさより、もっとハードロック的な疾走がテーマらしい。
 Wikiのディスコグラフィーによれば、以下が05年の発売順となる。

・May Another Band from the Cosmic Inferno European Tour 2005 - Cosmic Funeral Route 666
・June Anthems of the Space
・July 18 Demons from Nipples
・July 19 Just Another Band from the Cosmic Inferno
・September 20 IAO Chant from the Cosmic Inferno

 5月のリリースを筆頭に7月までに4枚をリリース。3rdと4th(本作)のリリース日は一日しか違わない。逆にAMTの公式ページでは本盤が2nd的な配置がなされてる。
 ただし録音クレジットを見ると、本盤は05年1月5日と最も早い。ならば実質は本盤が1stにあたるともいえる。
 実際に本盤を引っ提げて、地獄組は同年に欧州ツアーを実施。その際のツアーCDが上記の1st"Cosmic Funeral Route 666"になる。

 タイトルはもちろん、ザッパのアルバムからもじった。
 冒頭からハードロック的な疾走が始まり、ハイテンションから落ちない。シンセも聴こえるが味付け程度。根本となるのは唸るエレキギターのソロであり、骨太に加速するリズム隊だ。
 
 本盤は2曲。1曲が20分でもう一曲が43分と思い切り長尺。剛腕でシンプルにかっこいいサイケ・ロックを提示した。
 なお本盤はAmazon MP3だと1曲を100円で数えるため、200円と爆安で買える。


 (1)は途中で歌が入った。"ハイウェイ・スター"みたいな感じ。けれども骨子は河端一のエレキギター。高速フレーズと歪んだ音色が織りなす問答無用な暴れっぷりが痛快だ。休みなくドラムが打ち鳴らされ、ギターがソロを取り続けた。

 (2)は冒頭にシンセやギター・ドローンが入って、ちょっと厳かな幕開け。数分間、つかみどころない浮遊が続き、スパッと切り落としで疾走が始まった。ドラムが軽やかにリズムをひっぱたき、エレキギターのかきむしりが爽快に噴出した。ベースは埋もれ気味だが細かいフレーズを撒く。そしてシンセが彩りを付けた。

 展開は変わらない。冒頭からずっと同じムードが続く。コードはときどき変わるけれど、楽曲の展開ではない。循環する螺旋状の世界が延々と描かれた。この普遍無双っぷりが魅力だ。
 退屈ではない。いや、構成はシンプルなまま。だがギターがやむことなしにフレーズを高速にまき散らすさまは、大きな呼吸のよう。機械的な速弾きテクニックのひけらかしではなく、もっと肉感的だ。そして時折、すっと引いて間を置く。
 その間をベースのまくしたてが縫った。ワイルドさとバンドの一体感が共存するワイルドさが凄く良い。

 この剥き出しの一本気なテンションをどこまで咀嚼できるか。ライブ会場ならまだしも、CDで。聞き手にも体力勝負を問う。単純に音楽は気持ちいいからね。移動中に聴くといい。音楽へ身を任せてると、もう目的地についている。

 できるだけ本盤はでかい音で聴きたい。みっちりと膨らんだ音像をスピーカーで浴びるのも良いが、ヘッドフォンでじっくり耳を傾けるのだって聴きごたえあるぞ。

 (2)の途中で歌も登場。(1)に似てる。これだけ曲の尺が長いと、曲のムードが似通って感じる。演奏が止まらず、うまいこと歌とギターソロが切り替わるのも凄い。
 いずれにせよ本盤はもっと野性的なロックの初期衝動を強調した。ややこしいことを考えるより、素直に音像のうねりに耳を任せたい。

 なお曲は(1)が田畑、(2)が河端の作曲とクレジットされた。Tiffanyが"Erotic Whisper"と表記あるけれど、実際は(2)の冒頭やエンディングくらい。あとはひたすら、地獄組のジャムが存分に詰め込まれた。
 しかしギターは河端が一人なのに。すっごく濃密で隙間なくみっちり詰まって聴こえる。

 最後は逆に妙なタメや尻尾を残さず、さくっと音を落とした。そして冒頭に通じるスペイシーさが復活して、フェイドアウト。ねっちり長尺をかましたわりに、最後はいさぎよい。

Track listing:
1 Trigger In Trigger Out 20:17
2 They're Coming From The Cosmic Inferno 43:55

Personnel: 
河端一 : guitars, speed guru
田畑満 : bass, vocals, maratab
東洋之 : electronics, dancin'king
志村浩二 : drums, latino cool
岡野太 : drums, god speed

Tiffany:Erotic Whisper

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