Jeff Pittson 「Go Where It's Dangerous」(1999)

 ピアノ中心で聴きやすく熱さを滲ませるジャズに、そつなくまとめた。

 フュージョンやストレート・アヘッド寄りのジャズ。編成は鍵盤とパーカッションとのデュオながら、シンセなどをダビングして意外と分厚い音に仕上がった。10曲中7曲が本盤のリーダーでピアニストのジェフ・ピットソンが作曲。
 共演のパーカッション奏者Wally Schnalleが1曲を提供、もう1曲はピットソンと共作した。セッション、って意味かもしれない。
 残る1曲は映画「ゴッドファーザー」のテーマ(ニーノ・ロータの曲)。

 逆にカバーを並べて、観客の耳馴染みを狙う安直さはない。あくまでオリジナル曲で勝負する潔さはかおう。

 ピアノとパーカッションのデュオだが、時々シンセのユニゾンが入ったりスペイシーなSEを入れたり。あくまで素地はジャズだがアドリブ合戦よりも、スムーズ・ジャズ的ながらきちんとインプロを入れた、みたいな立ち位置。
 SEを多用のスタイルは映画音楽や物語風のドラマ性を求めてるのかもしれない。演奏よりもサウンド全体で勝負したい雰囲気を感じた。

 耳ざわりは悪くない。がっつり骨太で前のめりのスピード感あり。ピアノの指は廻るし、ダイナミックで明るいフレーズが飛ぶ。
 ただ、どうもグルーヴ感に欠ける。小節ごとの場面をつぎはぎしたかのよう。ドラムが疾走する場面はそうでもないが、ピアノだけだと少しスカスカ。
 ドラム側も生演奏に拘らず、パーカッションを足したりとダビングを多用。二人してオーケストレーション的なアプローチで、テクニックひけらかしやジャムの醍醐味とは違う志向のようだ。ECM路線の静謐さを漂わす(9)のように、幅の広さも伺わせる。つまり美しい世界の追及が彼の特徴か。

 トリオ編成のジャズに向かう場面もあるが、ベースはピットソンが自分で弾いている。小器用さが仇となっている。予算の関係か。きっちりメンバー揃えてクインテット編成くらいでしっかりコンボを作ったらいいのに。
 逆にパーカッションとデュオって感じがしない。ダビングを施し普通のコンボ編成に聴こえてしまい、デュオの必然性に欠けてしまった。

 なお現時点で彼のアルバムは本作以外に"INVISIBLE LOVE"(2000)のみ。こちらはメンバーを変えてピアノ・トリオにしてる。
 Webを見ると地道に演奏活動は続けてるが、派手なリリースは控えてるようだ。
http://www.jeffpittson.com/performances.html

 ピアノの音は瑞々しく、太い。力任せにならず、柔らかなタッチも心得てる。隙が無く綺麗にまとまった。いくぶんカクテル・ピアノ風のムーディさが味か。鋭さや前衛に向かわず聴きやすさをスマートに意識した。

 

Track listing:
1. Brujo
2. Selim Sivad
3. Dr. Hancock, I presume!
4. Bombay to Calcutta in six minutes
5. Suzanne
6. Tony (Wally Schnalle)
7. The Godfather (Nino Rota)
8. The Sky Turned Green (Jeff Pittson and Wally Schnalle)
9. Dangerous Variations
10. Sweet Morpheus
 
Personnel:
Jeff Pittson: piano, claviola, ocarina, percussion, bass, sampler, sound design
Wally Schnalle: drums, percussion, sampler, sound design

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