Acid Mothers Temple & The Melting Paraiso U.F.O. 「Hypnotic Liquid Machine From the Golden Utopia」(2004)

 長尺一本勝負の爆裂に、ボーナスでライブ音源を足した。

 多彩な方向性を貪欲に呑み込む懐深さも、豪快に薙ぎ倒すパワフルなジャムもAMTの魅力。本盤はシンセとギターが縦横無尽に暴れる一本勝負を二本、収録した。タイトルはザッパの"The man from utopia"(1983)にも通じる。

 04年5~6月の北米ツアー頒布用CDとしてリリース。
 (1)はスタジオ録音で、即興中心だがダビングがあちこちに施されてた。
 (2)は難波ベアーズで04年1月31日の"70's Rock Tribute"のライブ音源。このライブはワンマンか不明。シンセが目立たず河端、津山、小泉のトリオにも聴こえる。

 なお参加ミュージシャンは2ドラム編成で、Magic Aum Jijiのクレジットもあり。AMT流の大づかみなミックスのため、ドラム2人の個性は聴き分けられない。ドラムの対比構造をアレンジで特記せず、全体的なスピード感の痛快さが先に立った。

 AMTのインプロは場面転換や意外性よりも、自由度の高いジャムに軸足を置く。目先を変える斬新さより、高揚をいつまでも続け多幸感を味合わせてくれる。本盤の(1)はその典型なかっこよさだ。
 ギターのリフはループかな?ベースががんがんぶつかってきて、ドラムが煽り倒す。骨太なリズム隊の上で歪み倒したギターがうねりまくり、シンセが次々に噴出。問答無用に気持ちいい。ロックのパンチ力と怪しさがたっぷり味わえる。
 しかも単なる繰り返しではない。即興のダイナミズムもたっぷり。音像は基本線をブレさせず、常に変わり続けた。テンション高く、最後まで猛進した。

 (2)はいくぶん音が悪い。オーディエンス録音っぽい風味。ボーナス・トラック扱いだからややこしいことは言うまい。
 副題は"Captain Bret Heart" and "Terry Funk Zappa"。キャプテン・ビーフハートとザッパのもじりで、Terry Funkはプロレスのザ・ファンクスをひっかけてるのかも。
 とはいえ"Bongo Fury"(1975)よりむしろ"Hot Rats"(1969)寄りのアプローチ。

 ザッパの"Wille the pinp"の変奏リフがしばらく続き、おもむろにギター・ソロに突入するサイケな展開。牛心隊長風に吼えてるのが津山。
 ギター・ソロはザッパの単音を強調した譜割のリフと異なり、歪んだ音色そのものをアドリブに織り込む河端のスタイル。別に先達との影響を無理に探す必要はないのだが、敢えて言うならジミヘンの系譜かなあ?
 途中で津山が英語で「ロバート・フリップの登場だ!」とか「シド・バレット!」と叫ぶ。ギターはそのたびに少しづつ表情を変えて、ますます混沌っぷりを増した。
 「ジャコ・パストリアス!」と吼えてベースの荒々しいソロを自分で弾く場面もあり。他にも津山が煽ってる様子が伺えるけれど、いまいち声が埋もれて聴き取れない。

 ひとしきりベースがソロを取り、ドラムがフィルを入れてテーマに戻る瞬間が、しこたまかっこいい。

 演奏が終わった後、アカペラで津山が一節、サンフランシスコ云々と歌って終わる。"Who Needs the Peace Corps ?"のように。
  
Track listing:
1. Hypnotic Liquid Machine From The Golden Utopia
2. "Captain Bret Heart" and "Terry Funk Zappa"

Personnel:
河端一 : guitar, synthesizer, speed guru
津山篤 : monster bass, cosmic joker
東洋之 : synthesizer, dancin’ king
小泉一 : drums, sleeping monk
Maruichi : drums, percussion
Magic Aum Jiji : jew’s harp, erotic underground

Track 1 recorded at Acid Mothers Temple, Feb. 2004.
Track 2 recorded live at Bears "70's Rock Tribute" Jan. 31, 2004.

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