Live At FAC251 (2016:Cold Spring)

 意外と呆気ない。メルツバウが前面に立ち、バラス・パンディはさほど目立たない感あり。

 ハンガリーのドラマー、Balázs Pándiと16年9月29日に英マンチェスターでのライブ盤。たぶん当日のライブを、完全収録した。500枚限定。ただしデジタル・リリースもあり入手は容易だ。
 
 パンディは09年頃にメルツバウと共演を初め、出すアルバムはほとんどがメルツバウとの共演盤ばかりのイメージあり。秋田昌美の3世代くらい下のパンディが、都合よくジャパノイズにすり寄ってるイメージあり、あまり好感できなかったが。
 実際はカナダのノイジシャンVenetian Snaresのアルバム"Pink + Green"(2009)やRope Cosmetology"Diffusion de la rue de la Double Identité"(2009)あたりをっ口開けに、他のミュージシャンと共演盤は10枚以上あり。

 なおメルツバウと絡んだ盤には以下がある。
2010:Live at Fluc Wanne, Vienna, 2010/05/18
2011:Ducks: Live in NYC
2012:Katowice
2013:Cuts (+Mats Gustafsson)
2015:Live in Tabačka 13/04/12 (+Mats Gustafsson)
2015:Cuts of Guilt, Cuts Deeper(+Mats Gustafsson、Thurston Moore)
2016:An Untroublesome Defencelessness(+灰野敬二)
2016:Live at FAC251【本盤】

 上記のほとんどがライブ盤だ。メルツバウとはスタジオで作りこむより、パンディが力技一発で暴れ倒す印象あり。
 本盤でも同様。しかもミックスが今一つゴロッとしており、あまりパンディが目立たない。今一つ盛り上がりがないまま「ハーシュノイズの豪風と、ドラムの乱打がいたな」くらいの、あっさり終わってしまう。

 できる限り、爆音で聴いて欲しい。ヘッドフォンのほうが良いかも。アナログ・ノイズを中心にメルツバウは音色を工夫してるし、パンディもメリハリは今一つだがパワーあふれるドラムを鳴らし続けた。

<全曲感想>

1. Live At FAC251 44:13

 冒頭のPAと会話する部分まで収録し、ライブ会場のビビッドな雰囲気まで封じ込めた編集を評価する。いきなり音楽でなく、前触れがあってよかった。
 
 立ち上るハーシュ・ノイズ。一呼吸おいて、パンディのドラムが入った。前述のとおり、ミックスがいまいちで轟音の圧力は感じられるものの、メリハリやダイナミズムに欠ける。のっぺりと音域を埋め尽くした。メルツバウがミックスにまで関与したら、もう少し凄みが出たかも。

 当時の機材は不明だが、メルツバウはラップトップでノイズをフィルター処理かけながら、ところどころでアナログ・ノイズを奔出か。
 パンディはツーペダルでバスドラを鳴らしてる。叩きっぱなしじゃなく、メルツバウのソロな場面もしばしば。メリハリを試みてるようだ。

 逆にメルツバウがライブ共演の常として、わかりやすく相手の音に反応や制御はしない。唯我独尊とハーシュをまき散らす。したがってパンディが大樹に向かう巨象のような位置づけ。メルツバウに近づき、離れる。独り相撲な感じも。

 メルツバウはフルボリューム一辺倒でなく、中盤でいちど音量が下がる。いったん、曲が終わったかのように。28分過ぎのあたり。
 しかしいったん絞られたハーシュ・ノイズは、じりじりと残った。パンディのシンバル乱打に導かれ、ぐっとアナログ風の軋みに変化する。

 この部分以外、アルバム全編でさほどトーンは変わらない。細かく聴くと音色が変わったり、ドラムとノイズの乱立でスリリングな箇所もあるけれど。今一つ、物足りない盤。
 メルツバウの音色や構造は常に変化している。埋め尽くすハーシュをテーマに、鋭さや低音の比率がミリミリ変わって、微細な変化を滑らかに描いた。
 音が急激に絞り込まれ、勢いよく終演。観客の歓声が響いてCDが終わった。

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