Maze Featuring Frankie Beverly 「Inspiration」(1979)

 A面の流れが良い。前回のコロラド州から南部のルイジアナ州のStudio In The Countryへ録音場所が変わる。そのわりにサウンドは前作より洗練さを増した。

 順当に1年後なリリース、メイズの3rd。お洒落で涼やかなクワイエット・ストームのラジオが似合いそうなサウンド。いっぽうでリズムは弾む16ビートが華やかに響いた。

 前作とメンバーは変更無いが、レイド・バックした空気。これがルイジアナ流か。(6)でのぺなっとしたギターやエンディングでやたら長い金物パーカッションの寛ぎに、かの地の湿気を幻想させる。
 とはいえ基調はベヴァリーの弾むクールなカッティングと、乾いたドラム。パッド音色のシンセが柔らかくサウンドを包み、ベースとリードギターにパーカッションが細かいフレーズでグルーヴを作った。

 アルバム全体のテンポは少し落とし、メロウさを強調。洗練は無菌培養でなく、わさわさっと躍動感を滲ませる。(2)や(7)は70年代前半のニュー・ソウルに通じるざらついた緊張も漂わせた。
 最後に(1)のリプライズがインストで現れてLPは幕を下ろす。この(1)が名曲だ。ムーディな昼下がりのFMラジオにぴったり。緩やかなノリながら、シンバルは16ビートを刻む。
 (8)は(1)冒頭のドラム中心なキメを取る一方で、フェイドインで始まるのが惜しい。カットインしたら、かっこよさが増すのに。

 クールなカッティングとチョッパーのベースでファンクネスを出す(2)から、乾いたギターをしゃくらせてテンポを落とす(3)につなげる。シンセがベタッと鳴るセンスは野暮ったいはずなのに。リズム隊がしっかり煽るため、今でも古びてない。
 ちょっと大仰な(4)もファンキー寄り。タイトに決めてA面を締める。この流れがお見事。

 B面の(5)ディスコ風で幕を開けた。エイトビートで裏拍のハイハットが躍動感を出す。中間部のインストは少し古めかしい。
 (6)で持ち直し、ミドル・テンポのメロウさに。中間部はたっぷりとインスト部分を取った。そしてやはりディスコっぽい16ビートの(7)に。地味だが沁みる曲だ。

 シングルは(2)(4)(5)で、(2)がヒット。Discogsによるとまず(2)(5)でシングルを切り、改めて(5)に(8)をカップリングした。(4)は(3)がB面で、特にアルバム未収のレア曲はなさそう。

 エンジニアは1stから続くお抱えなJohn Nowlandに加え、ハウス・エンジニアの Bill Evansもクレジットあり。David "Sparky" FarrellはStudio In The Countryのアシスタント。
 Gene ThompsonとWally TraugottマスタリングのハリウッドCapitol Masteringの所属。

Track listing:
1 Lovely Inspiration 5:08
2 Feel That You're Feelin' 5:33
3 Call On Me 5:42
4 Timin' 5:02
5 Welcome Home 5:08
6 Woman Is A Wonder 7:20
7 Ain't It Strange 5:23
8 Lovely Inspiration (Instrumental) 1:56

Personnel:
Producer, Vocals, Rhythm Guitar - Frankie Beverly
Vocals, Percussion - McKinley (Bug) Williams
Bass Guitar - Robin Duhe
Congas, Vocals - Ronald "Roame" Lowry
Drums - Ahaguna G. Sun
Keyboards - Sam Porter
Lead Guitar - Wayne Thomas

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