田中充 「ミツルジルシ」(2004)

 2人ギター編成が産む波打つフレーズの上で、トランペットが柔らかく響いた。

 2人ギターに、ピアノレスでper,bの変則編成コンボによる、トランペッター田中充のデビュー・アルバム。
 全曲、田中のオリジナル曲だ。ぱっと聴いて思うのはヌケの良い音像と、柔らかなフレージング。寛いだ雰囲気でオーソドックスなジャズを聴かせる。小細工無し、まっすぐな流れで。
 
 次にエレキギター2本で作る、ふっくらした空間が気になる。アドリブとリズム刻み、と厳格に役割分担をギターはとらない。もちろんギタリストの一人がソロを取る場面はあるけれど。その時だってもう一人のギターが、大人しくバッキングで定型フレーズ弾いてるだけじゃ無い。

 パーカッションはあえてドラム・セットでなくジャンベやコンガを中心に組み、シンバルを並べたようだ。つまりバスドラのキックが無い。低音はウッドベースが受け持つ。
 ピアノがいないため、和音感覚もギターとベースのアンサンブルに委ねられた。

 これらアンサンブルが産むサウンドは、フリーに雪崩れない。かっちりとストレート・アヘッドなスタイルを取りながら、熱く燃え上がらないのが特徴だ。
 おっとりしてる。トランペットの落ち着いたフレーズは、高く吹き上げるときでも余裕と穏やかさを漂わせた。

 アンサンブルは隙が無い。けれどもヒリヒリしてない。
 ギター2本が繰り出す網をベースがぎゅっと引き締め、パーカッションが編んでいく。温かくはずむ上を、のびのびとトランペットが流れていく。

 こののんびりしたムードが本盤の特徴だ。だが繰り返すけれど、弛緩やダレは皆無。アンサンブルはきれいに整ってる。ガツガツしてないってことだ。爽やかな、ジャズ。

Track listing:
1.梵鐘 (bonsyou)
2.北海 (hokkai)
3.春音 (haruoto)
4.東へ (higashi-e)
5.水煙 (mizukemuri)
6.薫風 (kungpoo)

Personnel:
田中充(tp),石井貴之(g),市野元彦(g),芹澤薫樹(b,mix),よしうらけんじ(perc)

 Youtubeで検索すると、全く違う編成の動画が二種類あった。ミツルジルシって本盤のタイトルを冠したバンドは、編成に拘らず演奏をしてるのかもしれない。
 

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