Frankie Valli & The Four Seasons 「Two Classic Albums Plus The Four Lovers And Rare Singles」(2013)

 手軽にデビュー前の下積み期をざっとたどれる、便利な廉価盤4枚組。

 フランキー・ヴァリ&フォー・シーズンズはだいぶ日本でも、再評価されてる気がする。2015年に映画ジャージー・ボーイズや、日本人によるフォーシーズンズの労作本が出版。リイシューも活発になってきた。ヴァリは新譜のクリスマス・アルバムまで出した。
  

 その一方で粗製乱造なリイシューも数多い。だがそのわりに楽しめる廉価盤の4枚組が本盤。

 87年頃は本当に情報が無かった。達郎が2週にわたってサウンド・ストリートで特集したのみ。あとはライノのCD3枚組な"25th Anniversary Collection"(1987)のみ。海の向こうでじわじわとビーチ・ボーイズは復刻され始めたのに、なっかなかフォー・シーズンズは再評価されなかった。
 シングル中心のグループ、って認識なせいだろう。実際、アルバムのオリジナル・シーケンスでは今一つ燃えない。シングル集のほうが、彼らのパンチ力は映える。

 だが僕も最初はいきなり"シェリー"(1962)かと誤解してた。89年に独Bear Familyがフォー・ラバーズのベストをリイシュー、さらに前身あったと知った。

 いやいや、とんでもない。ヴァリはもっと前から下積みがあった。53年が初シングル。SPでリリースらしい。"シェリー"の約10年前だ。
 Frankie Valley、Frankie Valley and the Travelers、Frankie Tyler、Frankie Vally・・・Valliのスペルも初期は異なる。名義を変えバンド名を変え、ずっとヴァリは活動を続けてた。

 それをまとめた廉価盤が本4枚組。ざっくりの構成は、
CD 1:53~62年の様々な名義でのシングル音源
CD 2:フォー・ラバーズ音源
CD 3:フォー・シーズンズの1st"Sherry & 11 Others"(1962)と、"シェリー"をVJから発売前、Goneから出した唯一のシングル"Bermuda/Spanish Lace"
CD 4:2nd "The 4 Seasons Greetings"(1962)と、シングル"I've Cried Before"(SherryのB面","Connie-O"(Big Girls Don't CryのB面)

 マニアの方に言わせると音が悪いなど不満もあるようだが。千円かそこらでこの手の音源がまとめて聴けるならいいじゃない、と無邪気に楽しんでしまった。ぼくはね。
http://tangodelic.tea-nifty.com/tangodelog/2013/05/36-5afe.html
 
 Youtubeが凄まじい普及でレア音源そのものは、前よりずっと敷居が下がった。聴くだけ、ならあんがい検索して音を楽しめることが多い。
 ならば今の価値観は、「手っ取り早くまとまってる」とか「安い」とか。もちろん「音が良い」「解説が良い」と言った付加価値があっても大歓迎だ。
 
 本盤は安かろう悪かろう。でも、こんだけまとまってあれこれ聴けるなら悪くはない。解説は無い、楽曲クレジットもない。でもそれは本盤を足掛かりに聴きこみながら、じわじわと調べればいい。金があるなら、オリジナル・シングルを買い集めればいい。何百万かかるか知らんけど。

 ほとんどの人はそこまで深く聴かない。そもそも本盤収録音源も、ぶっちゃけて言うとフォー・シーズンズほどの出来じゃない。これを10回聴くなら、フォーシーズンズのシングル聴いたほうが楽しいと思う。
 そんな観点で、本盤は気楽に楽しんでしまった。ぼくはね。

 CD1の最後にTopics名義、CD2の冒頭でフォー・ラバーズ名義で同じ"The girl in my drerams"のアレンジ違いを聴けるのも面白いじゃないか。

 面白いのはヴァリがなかなか伝家の宝刀を抜かないところ。彼の歌の魅力は、もちろんファルセットまでいけるフルレンジのボーカルと、粘っこいグルーヴ。だが初期のシングルはまっとうなボーカリストで、全く後年の色気が無い。若いのに。抑えてたのか、魅力へ気づかなかったのか。

 本盤でヴァリらしい、とファルセット込みで歌声の魅力感じたのは53年の初期シングルではない。1-16、Hal Miller & The Rays"An Angel Cried"(1961)が最初。サビでスッとファルセットに飛ぶところ。
 さらに1-21、Billy Dixon & The Topics"Lost Lullabye"(1962)で伸びやかに裏声が伸びるところ。こちらでは喉を張るところもきれいに声が粘った。

 そのあたりから、ヴァリらしい歌声が聴けた。両方ともTopix時代。ボブ・クリューのインディ・レーベルでフォー・シーズンズの面々(Tommy DeVito, Bob Gaudio, Nick Massi Frankie Valli)が変名で活動してた頃合い。するってえと、ヴァリの魅力を引き出したのはクリューだったのかな。
 フォー・ラバーズではもう、ヴァリはのびのび声を張って歌ってる。

 フォー・シーズンズのVJサウンドは確かに特徴があった。とはいえ大前提ってヴァリのボーカル。その魅力が引き出され、花開くさまを味わえる。
 著作権切れゆえの低価格、かつレーベル横断で簡易にコンピを組めたおかげだろう。そもそもマスター・テープも無く、盤起こしが基本だろうし。

 あとは本盤収録の作曲クレジットや解説を読みたいのだが・・・どうもわかりやすい、まとめサイトが見つからない。ヴァリってアメリカでは、そういうコレクター対象じゃないのかな。もっと"歌手"として評価されてるとか。いわば北島三郎の作編曲入りディスコグラフィーを探すようなものか。
 何位まで上がったかって視点と同じように、誰が作曲やアレンジや演奏したか。そっちの視点も当時の流れがわかって面白いと思う。

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