Hodosan (2008:Vivo Records)

 ドラム演奏やアナログ回帰へ移りつつある時期の作品で、ここでもドラムの強烈な演奏とハーシュの饗宴だ。
 それぞれ20分くらいの作品が3曲。ほどよいボリュームでインプロ・セッションめいたサウンドが楽しめる。

 タイトルの"ホドサン"とは埼玉県の長瀞にある宝登山を意味する。昭和35年に野猿公園として開園、猿や鹿とふれあいがテーマの一つらしい。ここで飼っているブタが本盤のテーマ。好意的なのか、なんらかに反発かはわからない。
http://www.chichibu-railway.co.jp/nagatoro/zoo.html

 三曲目は韻を踏んでるためタイトルに深い意味あるか不明だが、豆腐について。長瀞にも豆腐料理屋はある。単に秋田昌美が秩父旅行したスナップ写真的なアルバムと捉えるのも面白い。

 ドラム演奏やアナログ回帰へ移りつつある時期の作品で、ここでもドラムの強烈な演奏とハーシュの饗宴だ。
 それぞれ20分くらいの作品が3曲。ほどよいボリュームでインプロ・セッションめいたサウンドが楽しめる。

<全曲感想>

1. Peace Pigs Part 1 20:11

 メリハリや物語性よりも、セッションの躍動感を封じ込めた感じの曲。実際はメルツバウの多重録音になる。

 初手から猛烈なドラムの炸裂、そしてハーシュ・ノイズ。後ろで細かく降り注ぐノイズはデジタル、前面で激しく暴れるのがアナログかな?ノイズのみを抽出したギター・ソロのように噴出は休むことなく上下する。
 場面ごとに音色が変わっているため、実際はPCで操作かも。

 ひとしきりノイズが暴れた後で、今度はドラムの手数が増える形に。たぶんドラムを先に録ってると想像するけれど、よくこんなセッションめいた形に仕上げられるものだ。
 ノイズはドラム演奏とは別に操作してると思うが。

 ドラムは濃密に噴き出す音像の中でも、きっちりと存在感を出す。シンバルを打ちのめす甲高い音、バスドラを踏み鳴らす低音、タムの中域。それぞれの周波数はハーシュ・ノイズにうずもれず、明確に主張した。このミックスも興味深い。
 音像はどこにも隙間なく、みっしりなのに。
 なるたけ、でかい音で聴きたい。そのほうがダイナミズムが体感できる。CDゆえにスピーカーから出る音で、身体を揺らす極低域は無いものの。

 さらに秋田はハーシュの貫きを右、左はワサワサした空間系と定位を変えて左右に広げてノイズ音像にふくらみを狙った。
 13分過ぎでタンバリンのようなシンバル・ワークも聴こえる。クラッシュ・シンバルの波形が潰れてるだけ?1バス2ペダルにスネア、タムが1個くらいのツェッペリン・スタイルなシンプル・セットに思えるが、実際はどんなドラムを叩いてるのかな。

 最後にすっとノイズが消え、生のドラムが剥き出しになる。数秒後、唐突に幕。
 この猛烈な墜落感が、最初に聴いたときは特にスリリングだった。

2. Peace Pigs Part 2 13:27

 音構成は(1)と似てるが、右と中央にノイズ・ソロを配置し、二本立ての暴れ具合に変わった。さらに背後で低音成分が増強されてる。
 ドラムはバスドラとハイスピードなタムの乱打は変わらず。コンセプトはそのままに、より過激なアドリブ合戦な趣きで曲が作られた。

 ただ(1)のようにソロ回しでなく、全員がてんでにインプロを繰り広げる混沌さに軸足を置いてる風に聴こえる。
 ノイズ成分は並列して同時進行で表情を変えていった。

 ドラムのミックスはいくぶん潰れ気味。次第にノイズの主張が強く鳴り、タムの乱打くらいを残して高音と低音は外殻だけを残してるかのよう。
 そのぶん、左の軋むノイズも含めて左右中央と複数のハーシュが叫び、吼えた。

 リズムは連続せず、明確に手を止める部分もあり。一本道ではなく、力尽きるように。叩いてるときは鋭角だ。テンポはほぼ一定。拍子は分かりにくいけれど、変拍子を意図的に行わず、身体で強固に4拍子を意識してそう。
 ノイズ側もメリハリを出す。この押し引きがメルツバウらしい多彩性だ。出しっぱなしでなく緩急や流れを意識し、オーケストレーションのように組み立てた。

 最後は穏やかにフェイド・アウト。ドラムが先に消え、シンセが残って幕。

3. The Joy Of Soy 19:08

 こんどはドラムが明瞭な4拍子。野太くゆったりなテンポで叩き始めた。ノイズは数本。いちおう細かい砂粒が空気を埋めるけれど、いくぶん隙間は多そうな感じ。
 男っぽいロックな世界観を提示した。ドラムの裏拍を刻むように、ハーシュが脈打つ。
 シンバルの音がきれいに響いた。この曲のミックスはドラムを前に出し、迫力と凄みをダンディに表現してる。
 ノイズ側は噴出が止まらないものの、ドラムを引き立てる役割。タム回しに揃っていななき、シンセが軽やかに瞬間だけ閃いた。

 淡々と同じテンポが続く。冒頭の勇ましさは、じわじわと霞んでいく。音像に慣れていくため。
 細いノイズが右側で立ち上がる。ちりちり周辺を弾けさせて。変わらぬドラムへ対抗して、断続的に見をよじった。

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