TZ 7057:Susie Ibarra "Flower After Flower"(2000)

 組曲風の作曲ながら、即興要素も混ぜたTZADIKでの1st。

 打楽器奏者のスージー・イバッラの作品集。全8曲中、コンボ編成が奇数曲。偶数曲はイバッラ自身、アコーディオン独奏、ピアノ独奏、再びイバッラ自身のドラム独奏と組曲風に仕立てた。
 コンボ編成はワダダ・レオ・スミス(tp)を筆頭の4~8人編成で、楽曲ごとに構成が異なる。録音は99年12月21日の一日のみ。即興を重ねるのでなく、きっちり作曲してパッと製作かな。
 
 コンボ編成はtp,cl,b-cl,acc,vl,p.b,dsと変則的な構成だ。ソロ回しやインプロでなくきっちりコントロールされている。完全譜面でなく、細かいところはアドリブっぽいが。
 (1)はワダダに捧げられ、彼のペットと木管/弦が対比構造で動く現代音楽寄りの楽曲だ。しかし譜面の堅苦しさは無く、頻繁に即興的なフレーズの飛びかいが現れて音楽に躍動感はある。
 ドラムが無闇に前面へ出ることもなく、サウンド全体の構成を意識して作曲された。ドラムはむしろ色付け役っぽい。

 キャリアは長く90年代後半から各種のアルバムに参加している。本盤は99年のアルバムだから活動初期。頭角を現してきた彼女を、ジョン・ゾーンがリーダー作で抜擢の構図か。本盤がTZADIKで彼女の初のリーダー作になる。

 彼女の持ち味は力任せなテクニックでなく、アジア的な間を生かした幻想性を持つムードみたいだ。ただしテクニックはしっかりあり。(2)などドラム・ソロでは小刻みなスティック・ワークと、金物を使い分けるエキゾティックさを演出した。

 
 (3)は木琴を生かしたイバッラのパーカッションと木管楽器が音をかわしあう。むやみな不協和音を使わず、きれいな響きが漂う。本盤で一曲なら、(3)を選ぶ。
 クッキリしたメロディと、複雑すぎない和音感が素朴な物語性を描いた。

 ロングトーンと和音で幻想性を強調した(4)は、ダビング無しで演奏できるのか。響く音の合間を単音が飛び交う。すっと音を消して厳かに旋律が上下するアコーディオン。
 笙に通じる荘厳さもうっすらあり。この辺のアジア風味がイバッラの個性。

 断続性ある寂しさと不安定な揺らぎを強調した(5)。メロディの緊迫感は(3)と対照的だ。この辺、メリハリと幅広さがある。
 傷ついた風景を癒すかのように、しっとりしたピアノ・ソロの(6)へ。アドリブあるジャズ・ピアノながら、作曲の枠は常に感じさせた。間は控え、すっと詰まった譜割で武骨な鮮やかさを表現した。ビバップからフリーまで小節単位で入れ代わる。時代の流れをテクニカルに混ぜ合わせた。

 (6)は唐突に終わり、ドラの一打。ベースやトランペットが加わり、朗々と(7)に移った。フリーな展開とリズミックな要素が加わり、楽曲としてはぐいぐいダイナミックに盛り上がった。
 ラテン、ジャズ、ガムラン、お祭り的な陽気さ、さまざまなリズムの味付けが混ざってる。セッション的な盛り上がりはこの曲が一番だ。アレンジがキッチリされており、音が混沌に至らない。
 最後に唐突なビバップ、それもフェイドアウトという尻切れトンボぶりが何だかな。

 アルバム最後は、イバッラのドラム・ソロ。ジャズ・ライブ風の乱打が聴ける。好みではないが。
 全体を見渡すと、様々な要素を目配りよくまとめてる。独りよがりな感じはしない。ただし終盤のとってつけた唐突さはいただけない。

Track listing:
1 Illumination 13:31
2 Fractal 1 2:14
3 The Ancients 9:20
4 Fractal 2 3:19
5 Flower After Flower 9:48
6 Fractal 3 4:22
7 Human Beginnings 12:07
8 Fractal 4 2:40

Personel:
Producer, Composed By - Susie Ibarra

Drums, Percussion - Susie Ibarra (tracks: 1, 2, 5, 7, 8)
Bass - John Lindberg (tracks: 1, 3, 5, 7)
Bass Clarinet - Assif Tsahar (tracks: 1, 3, 5, 7)
Clarinet - Chris Speed (tracks: 1, 3, 5, 7)
Percussion - Cooper-Moore (tracks: 6, 7)
Piano - Cooper-Moore (tracks: 1,6)
Trumpet - Wadada Leo Smith (tracks: 1, 7)
Violin - Charles Burnham (tracks: 1, 3, 5, 7)

Recorded 21/12/1999 at Avatar Studio, New York City.

関連記事

コメント

非公開コメント