Laila France 「Orgonon」(1997)

 モーマスが完全プロデュースのエレクトロ・ポップスで、彼女の唯一なアルバム。

 イタリアのソフト・ポルノ音楽をテーマに、全曲を書き下ろし。ビートの打ち込みやと(11)での鍵盤を除き、演奏もすべて。5曲をライラ・フランスが書いた以外は歌詞もモーマス。
 自意識の高い女性シンガーをサポートでなく、人形みたいに扱ってる。
 
 そもそもはカヒミ・カリィ"I Am A Kitten"(1994)が発端。このプロモーションでフランスをモーマスが訪問したときに当時21歳の彼女を紹介され、本盤製作に至ったという。
 容姿はともかく音楽性は稚拙。歌唱力も怪しく(4)では思い切り音痴な様子を生々しくみせた。わざと音を外してるにしても、なんともひどい。
 あくまで本盤はモーマスのサイド・プロジェクトとして聴くべき。

 モーマスの歴史で言うと"The Philosophy Of Momus"(1995)の前あたり。この盤もロンドンとパリで録音されており、並行製作だったのかもしれない。
 メロディを希薄にしてデカダニズムを控え始めたころ。サウンドがチープなエレクトロ路線になる、寸前の時代だ。

 本盤のメインはシンセだが、後年のとりあえず音を埋めてみたって荒々しさは無い。ビートは丁寧に打ち込まれ、サンプリングや音色などアレンジは手をかけている。
 裏ジャケにはジョークだとしても「これはトランス・カクテル音楽である」とか、精神医ライヒが提唱した「性的絶頂オルゴン・エネルギー」の生成ができるって宣言があり。 

 ただしエロティックさはあまり感じられない。繊細で孤独なエレクトロ・ポップって感じ。
 投げっぱなしで着地点の見出しにくいモーマス流の気怠いムードは楽しめる盤だ。

 曲としては(6)が耳に残った。メロディのクッキリさもさておきながら、エレキギターをシンセで模したアレンジも静かなポップさがある。
 もっとキャッチーな曲は(9)のように本盤にあるが、(6)が持つ切ない寂しさがしみた。

 ライラの歌詞は詞先っぽい。ポエトリー・リーディングのように取りとめなさがひときわ強調され、強引にメロディをはめ込んでるかのよう。

 全体的にはモーマスの気まぐれ、危うさは少ない。後が続かぬ一過性のはかない音楽。でも余計なシンガーの色がついてないぶん、純粋にモーマスの作品として楽しんでも良いかな。全力投入してるようには思えないが。

 (10)のPVまであった。

 いまだにMP3はカタログから消えず、購入が可能だ。
 

Track listing:
1 Trashy Like TV 4:31
2 Trance Cocktail Airlines 4:22
3 Wonderhood 2:27
4 Japanese Especially 2:07
5 The Pink Song 4:31
6 David Hamilton 4:44
7 Synthesiser Wizard 3:56
8 First Love Blood 4:11
9 Orgonon 3:40
10 Bilitis 4:36
11 The Sensations Of Orgasm 3:57

Personnel:
Lyrics By Laila France (on : 1 to 4, 8), Momus (on: 5 to 7, 9 to 11)
Music By, Producer, Programmed By, Instruments : Momus
Programmed By [Drum And Bass], Sampler : Pantunes
Keyboards :Scanner(on 11)

Recorded at The Spike, London, January 1997.

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