Myrakaru 「Tammetoru」(2004)

 心地よい電気仕掛けのポップコーン。ミニマル・テクノの快盤だ。

 Indrek Tamm と Joel Tammikによるエストニア出身エレクトロニカ・デュオの、唯一なアルバムらしい。。
https://www.discogs.com/ja/Myrakaru-Tammet%C3%B5ru/release/330736
 その後2013年に"Suuskuu"で12"シングルも切られてるが、本盤収録曲。活動はしてなさそう。個々での活動履歴もいまいち追えない。
 Indrek Tammは同名のサンクラはあったが、2014年頃に更新が止まっている。
https://soundcloud.com/indrek-tamm/tracks
 Joel Tammikのほうは2015年のアルバムがBandcampに載っていた。彼のほうがリリース活動は現役のようだ。


 本盤はミニマル・テクノ。シーケンサーを中心にした構成をとる。このジャンルはほとんど聴き手の趣味で価値観が変わる。音色、音使い、アレンジ、BPM、などなどなど。さまざまな音楽要素の快楽原則に特化したジャンルであり、それらが好みかどうかで評価が決まる。
 ダンス用が前提とも、部屋や移動のBGMでも、目的によってハマり具合が変わる。

 この盤は、僕の好みにぴったりだった。家でも、移動中でもきれいにくつろげる音使い。
 どことなく古めかしいテクノの要素を持ち、音数は多すぎない。それでいて軽やかな音色が隙間を残しながらも、濃密に飛び交う。さらに音色のダイナミクスを工夫して立体感を出した。
 単音をディレイで飛ばしてスペイシーさを表現する一方で、個々の音が連なり素朴なメロディを奏でる。それでいて音色はチープすぎない。

 小気味よい爽快さを持つメロディは柔らかく、和音感も軽やか。さらにBPMも早すぎないが、チル向きの緩やかさも無い。押しつけがましくなく、かといって背景音楽にはもったいないポップさだ。

 仕事に疲れた帰り道、電車に揺られながら静かに耳を傾けるのが一番ハマった。頭を緩やかにかき混ぜる。それでいてシンプルなため、一段落したらスマホでも眺めながらBGMに切り替えられる。
 ストレスを柔らかく癒すビート感が、奥行きある音像で柔らかく脳みそをくすぐる。

 ミニマル・テクノと言いながら、繰り返しが主眼ではない。かなり頻繁に音像は変わっていく。その割に楽曲構造に固執せず、滑らかで抽象的な音像だ。
 一曲は長すぎず、4分前後。全13曲で楽曲ごとにアレンジやアイディアが色々変わっており、バラエティに富んだアルバムに仕上がった。

 こういう音楽をもっと聴きたい。でも、本盤を聴きこめばいいのかもしれないな。一音一音、どんな音が出るか脳裏で完全に再現できるまで。
 けっこういろんな音が詰まっており、全体像をつかむのは容易ではない。聴くたびに、新しい気づきがある。複雑でいて爽快。なかなか、無い。好みに合うテクノへ出会うのは。

Track listing:
1. Jalk 4:18
2. Sinamus 3:53
3. Suuskuu 3:56
4. Varina 4:11
5. Las Minna 4:08
6. Kyyrupeal 3:59
7. Limurite Tekond 3:45
8. Kirjatupal 4:57
9. Komboterv 4:21
10. Kimalnu 4:23
11. Mermalis 4:02
12. Vaikne Magi 4:24
13. Duo Quernicus 4:08

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