TZ 7247:藤井郷子 / 吉田達也 "Erans"(2004)

 対等な立場でプログレ的なジャズを志向した一枚。基本はハイテンション。

 "Toh-Kichi(藤吉)"(2002)に次ぐアルバムで、作曲は藤井が (2~4, 7, 9~11), 吉田が (1, 2, 5, 6, 8, 11 to 13)と分け合い、対等な立場で作った。つまり(2)(11)は共作。
 全編にわたって漂うのは譜面の感じ。もちろん即興要素が前提だし、インプロ風につかみどころ無く展開する場面が基本だ。
 しかししょっちゅうびしばしとキメが入り、構築美高い演奏を聴かせた。

 変拍子を頻出させ、タイトにリズムが決まる。ピアノは硬質かつ流麗にメロディを響かせた。
 互いのテンション一発や探り合い、ソロの交換とはベクトルが違う。
 リズムに寄り添い構成を生かし、スリリングな瞬発力をそこかしこに生かしつつ、無軌道さはかなり少ない。プログレ好きの吉田の趣味を踏まえ、藤井が合わせた感じ。したがってジャズ的なスイングさは希薄だ。 

 鋭利な場面転換はルインズに似て、滲むリリシズムは藤井の持ち味に近しい。セッションともバンドとも違う、面白い立ち位置だ。つまりここでは我を持ち出したりアピールは控えたい。いっぽうでサウンド・イメージを統一させるほどコンセプトにこだわったユニット化でもない。
 フレーズを整えながら、譜面キッチリの構成と突発的なアドリブの応酬に飛ぶ。

 だから面白いのは、意外と吉田がイニシアティブを取った。
 ドラムが譜割に合わせ叩くと一気に構成美へ向かい、乱打方向へ行くとインプロ味が強調される。
 藤井だって大人しくピアノを弾いてるわけではない。(4)で内部奏法を取り入れたり、アドリブで吉田を引っ張ったり。力強く凛としたピアノだ。

 吉田と内橋和久の超即興とは持ち味が違う。ドラマティックなジャズ風味を持つ藤井とのデュオによる、しなやかなノリが本盤での最大の魅力だ。
 異なる音楽文化で育った二人が、落としどころを妙に探らず伸び伸びと曲を演奏している。
 寛ぎよりもかっこいい疾走の連発が詰まった。

 ミックスは吉田自身。くっきりとピアノのエッジを立てた。ドラムもやはり硬質な響きですっぱりと周波数を整理した。二人は違う立ち位置で鋭角なきらめきを持ち、疾走を続ける。

 

Track listing:
1. Feirsttix
2. Erans
3. Taco no Me
4. Westerlies
5. Snyguilp
6. Ika no Kuchi
7. Hizumi
8. Ayentanams
9. Iwashi no Uroko
10. Take Right
11. Shimesaba
12. Agolam
13. Feirsttix (vocal)

Personnel:
Drums, Mixed : 吉田達也
Piano :藤井郷子

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