Sanhedrin 「「好」の5W1H」(2013)

 強力トリオのスタジオ録音による5年ぶりのアルバム。多様なアプローチを見せた。

 灰野敬二、吉田達也、ナスノミツルの即興巧者によるスーパー・グループ、サンヘドリン。断続的な活動で音盤は少なく、"さあ 真ん中だ どんな感じ"(2008)ぶりの発売となる。
 サンヘドリン名義では3枚目、"Live At Cafe Independants"(2004)もあり、実際は4枚目か。
 ジャケット・デザインやタイトル付けは灰野敬二がイニシアティブを持ってるように見えるが、音楽はガチンコ。三人とも一歩も引かず対等のバトルを繰り広げるのが魅力だ。
  

 なお本作は前作と異なりスタジオ録音。録音、ミックスも吉田が担当してる。それぞれの楽器をくっきり立て、なおかつざらついた芯を残して輪郭を硬く尖らせる吉田流の音作りが見事に決まった。

 6曲にトラック分けされてるが、実際はすべて即興。灰野がエレキギターを持つのが一般的なイメージだが、本盤(1)では灰野がシンセ(?)を操り、轟音疾走とは全く違うスペイシーでサイケな世界を作った。この新たなアプローチが新鮮だった。
 たっぷりと溜めて、静かな世界を作った後に(2)で爆裂。灰野のボーカルもチラリ入るが、あとは緩急を決めたギター・トリオが味わえる。どの曲もまで滑らかに繋がるので、もしかしたらすべてが一発録りの即興かもしれない。

 なお(4)でもリバーブたっぷりの灰野のボーカルを、吉田がドラム・セットだけでなくダラブッカみたいな硬いパーカッションも織り交ぜ展開した。
 ナスノが弾きまくらず、隙間を縫うような低音で応えるさまが音像に幅広さを作った。
 そこからバスドラの頭打ちで疾走に戻る(5)への流れも抜群に燃える。

 手数多くまくしたてるドラム、譜割を合わせるようでずらし続けるエレキギター。ストロークとフレーズがみるみる入れ替わりとどまらない。
 そしてベースも着実に細かく展開する。つまり三人がそれぞれビートを提示し合い、混ぜ合わせることで大きなうねりを作った。
 調和も強固にあり、ペースダウンするときはむやみに我を張らず、スマートにすとんと呼吸を合わせてる。

 互いを尊重し合い、なおかつむやみに譲らない。百戦錬磨な三人ゆえのしぶとく逞しい即興が、ぐいぐい迫りくる面白さが堪能できる。 
 手慣れた安直さは皆無だが、決して破綻しない安定さがある。テーマなどメロディや構成に頼らず、インプロだけで説得力を持たせる頼もしさが素晴らしい。

 即興巧者は多数いるが、サンヘドリンの魅力は荒ぶりと危うさを自然に保つところ。灰野のパワーをどっしり受け止め、なおかつ個性を出せる吉田とナスノあってこそ。
 灰野をむやみに高めず、一種ドライに受け止めた。コンセプトを次々繰り出す灰野に対して、淡々と音楽で応える。その二人の冷静な対等さがサンヘドリンの乾いた魅力に昇華した。

Track listing:
1. 何処 (Dokode) 24:15
2. 何時 (Itsu) 9:52
3. 何 (Naniwo) 7:00
4. 方法 (Donoyouni) 5:30
5. 誰 (Darega) 6:32
6. 何故 (Naze) 6:19

Personnel:
Bass - ナスノミツル
Drums,Recorded By, Mixed By - 吉田達也
Vocals, Guitar - 灰野敬二

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