Kramer 「Still Alive in '95 (Live in Japan)」(1995)

 あの個人的な熱狂が蘇る、貴重なライブ盤。冴えまくってたクレイマーの様子が見事に封じ込められてる。

 2days公演だった恵比寿のGuilty。どっちの日か忘れたが、一日だけ僕は見に行った。同行はヒュー・ホッパー。当時はデヴィッド・アレン来日の話もあり、プログレ好きなファンが詰めかけたらしい。会場に行ったら「アレン来日中止」チラシが貼ってあり、残念がってた人の声も聴いたような。
 ぼくはクレイマー目当てだし、当時はゴングを知らず。あまり気にせずワクワクしながら中へ入った。

 スタンディングで数百人のキャパかな。どのくらい埋まってたかは知らない。後ろなんか見ない。かぶりつきでステージしか見てなかった。
 前座付きのパッケージ・ショーだが、要はシミー祭り。目の前で動くデーモン&ナオミ、ドッグボウル、そして本編でギターがスティーブ・ワトソン。狂喜だった。

 本盤はクレイマーのステージをパッケージ化した。記憶が既にあやふやだが、ライブの流れそのものは変えてない、ような気がする。
 (1)はインストのインプロ。1stソロ"The Guilt Trip"(1992)から(6)~(9),(12),(14)、2ndソロ"The Secret of Comedy"(1994)から(4)(5)。
 BongWaterの2nd"Too Much Sleep"(1989)から(10),(15),4th"The Big Sell-Out"(1992)から(16)。もう、たまらん美味しい選曲だった。

 さらになぜか、カバー曲も多数。ロイ・オービソン(2)はライブ冒頭だっけかな?弾き語りってアンコールだけだった気もする。とにかく選曲のセンスにひっくり返った。逆にクリス・アイザックの(3)は知らなくて、ピンとこず。
 レノンの(11)やミラクルズの(13)は「サービス精神旺盛だなー」と思いながら聴いてたような。オールディーズショーみたいな古めかしさは無く、あくまでビビッドに演奏してくれた。
 なお(10)もオリジナルはドッグボウル。それをボングウォーターがカバーした構図となる。

 クレイマーは本編でずっとギターをかき鳴らしてたはず。逆にその前、ドッグボウルのステージではベースを操り、メロディアスで巧みな演奏っぷりを披露した。音源、リリースされないかな。
 ちなみに本盤は、ライブ後に吉祥寺GOKスタジオでクレイマー自身がミックスとマスタリングも行ってる。嬉しい話だ。
 率直なところ、この時期は既になんだかリリース・ペースも落ちてクレイマーは下り坂気味かなと思ってた。だがライブを見てそんな思いは吹き飛んだ。凄かった。

 本盤は選曲がにくい。インプロでサイケに炸裂させ、いきなりカバー2連発。油断したところで、キラー・チューンの(4)。ドタバタしたバンド・サウンドで、クレイマーは高らかに歌った。
 リズム・ギターがクレイマー、リード・ギターがワトソンだと思う。エンジニアだけじゃないんだ、と思いながら聴いてたような。もう記憶があいまいだ。惜しい。

 ドッグボウルも加わるとギター三人。だがあまり分厚さは無く、すっきり本盤はまとめられた。ヒュー・ホッパーもポップなフレーズできっちり仕事をしてる。

 本盤の魅力はアコギのかき鳴らし。シンプルなアレンジだがフォーク風のセンチメンタリズムは無く、カラッと軽やかだ。なにげなく無造作なアレンジ。シンプルでも曲さえよければ、十分に楽曲は強度を持つ。それを思い知ったライブだった。
 ぼくは"The Guilt Trip"をどう、ライブで再現するか楽しみに聴きに行った。だが飾りっ気ないアコギの弾き語りでも、成立するんだと驚いたっけ。

 レノンの(11)ではへたっぴな笛をクレイマーは吹いた。へなへなな声の歌は決してうまくない。不思議なもんだ。オリジナルの(4)では高らかにシャウトを決めてるのに。
 こういう奇妙な隙を見せるのも、クレイマーならではかもしれない。

 贔屓の引き倒しです、はい。でも、すっげえカッコよかったんだ。たしかアンコールで聴かせた弾き語りの(14)は、ほんと胸にこみあげてきたもの。
 レコードではノイジーでサイケな表現が印象に強かった。だがこのライブで聴ける音楽は、切々と歌いかけるSSW的なアプローチ。それがバンド・アレンジだとしても。
 クレイマーのメロディ・メイカーぶりを味わえる一枚だと思う。ここまで無防備な歌声を、クレイマーは本盤以外で披露していない。

Track listing:
1. Still Alive 2:08
2. In Dreams 3:16
3. Wicked Game 5:23
4. Nine Minus Seven Is Two 4:12
5. The Secret Of Suicide 3:41
6. Stupid Summer 2:58
7. Hello Music 3:08
8. Welcome Home 5:09
9. I'm Your Fan 2:42
10. One So Black 3:56
11. Jealous Guy 4:20
12. I've Seen The End 5:17
13. Tracks Of My Tears 4:02
14. You Don't Know 2:42
15. Too Much Sleep 2:35
16. The Big Sell-Out 2:11

Personnel:
Kramer - vocals, acoustic guitar, flute, mixing, mastering
Dogbowl - vocals, acoustic guitar
Hugh Hopper - bass guitar
Damon Krukowski - drums
Steve Watson - electric guitar

 これも一時期は廃盤だったが、今はシミー再発盤もMP3でも簡単に聴けるようだ。ありがたい。
 

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