Oscar Peterson 「Plays The Richard Rodgers Songbooks (Bonus Track Version」(1959)

 マラソン・セッションのソングブック集へ、同じ作曲家のセッションをボートラで13曲追加したお買い得な再発盤。
 黄金トリオとバーニー・ケッセルとのトリオ、聴き比べ出来る楽しさもあり。

 欧Solarが11年にリイシューな本盤の土台は"Plays The Richard Rodgers Songbooks"。59年7月14~8月9日に行われた、オスカー・ピーターソンの録音の一環でリリースされた。この半月ばかりで、ピーターソン率いる黄金トリオは以下10枚ものLP音源を吹きこんだ。
"The Jazz Soul of Oscar Peterson"
"Plays the Duke Ellington Song book"
"Plays the George Gershwin Songbook"
"Plays The Richard Rodgers Songbooks"(本盤)
"Plays the Jerome Kern Songbook"
"Plays the Cole Porter Songbook"
"Plays the Harry Warren Songbook"
"Plays the Irving Berlin Songbook"
"Plays the Harold Arlen Songbook"
"Plays the Jimmy McHugh Songbook"

 セッション好きなノーマン・グランツ/Verveの体質、オスカー・ピーターソンの人気、そして息の合った抜群のトリオ。これらの要素がうまく絡み合ったこその大量な録音に至った。
 さらに埋もれた音源があるのか知らない。一連セッションの全貌がわかれば経緯を読んでみたいもの。少なくともこれまでのディスコグラフィーでは59年7月14~8月9日とのみ、マラソン・セッションは記載されてたが、本盤では7/21と8/1って明記あり。毎日録音したかも不明だが、もう少しセッションの内容は細かく特定できるみたいだ。

 売れっ子のピーターソンは他にも膨大な録音がある。この再発はリチャード・ロジャースの作曲を取り上げた音源、って視点で他からも詰め込んだ。
 簡単にまとめると、"Plays Richard Rodgers"(1954)を全曲と別の2枚のLPからロジャースの曲を2テイク抜き出した。

 なお細かい事を言うと、(2)(4)(20)(23)はロジャースでなくオスカー・ハマースタイン二世の曲。オリジナルLPの音源はまだしも、ボートラはロジャースでまとめればいいのに、ってのはさらに重箱の隅つつきになる。

 どの曲もしっかりアレンジされている。特に大本となる59年マラソンのほうはなおさら。だがこれが、ほんとうの意味で譜面化されてたかは謎だ。この3人ならジャム的にやっても、構築度を出せたのかもしれない。
 とにかく、まず弾いてソロ回ししてハイ終わり、みたいな安直さはどこにもない。ピーターソンは流麗なテクニックを駆使しつつも、メロディ作りやアドリブの持って行きかたを曲ごとに変えている。

 楽曲は上品な白人曲だが、おっとりと格調を保ちつつスイングさせる演奏が良い。ファンキーさやグルーヴでどっぷり突き進まず、丁寧に小粋に仕上げる。それでいてカクテル・ピアノ風のつまらなさが無いのは、やはり跳ねるビート感とアプローチの多彩さがなせる技。
 ぱっと聴き流すのもいいし、じっくり聴くほどに気づきがある。とにかく単音と和音の使い分けが、ピーターソンは素晴らしい。

 最後に収録曲をセッション別にまとめてみよう。
 (13)はLAで52年5~6月録音、VerveのサブレーベルClefから"Plays Richard Rodgers"として54年のLPより。こちらはドラム無し、バーニー・ケッセルとのギター・トリオ編成。そう、ソングブック集は本盤の大本が既に二番煎じとなる。音楽のクオリティは下がってないが。

 (14) は53年5月21日にNYで収録。"Romance - The Vocal Styling Of Oscar Peterson"(1953?)で既発だ。Discogsではギターがハーブ・エリスだが、実際はケッセルらしい。

 (15-16) は53年12月6日にLAで。(15)は"Nostalgic Memories"(1956)にて、(16)は(13)と同じLP"Plays Richard Rodgers"で既発。

 (17-24)は翌日12月7日、(25)はさらにその翌日、12月10日の録音。(13)や(16)と同じLP"Plays Richard Rodgers"で既発。ディスコグラフィーだと(25)はエリスとあるが、本盤には記載なし。どうでもいいことだが、妙に気になってしまう。


Track listing:
01.This Can’t Be Love
02. It Might As Well Be Spring
03. Johnny One Note
04. The Surrey With The Fringe On Top
05. The Lady Is A Tramp
06. Blue Moon
07. Manhattan
08. Isn’t It Romantic?
09. Lover
10. I Didn’t Know What Time It Was
11. Bewitched
12. My Funny Valentine
13. Thou Swell
14. Spring Is Here
15. You Are Too Beautiful
16. Isn’t It Romantic?
17. This Can’t Be Love
18. Blue Moon
19. The Lady Is A Tramp
20. It Might As Well Be Spring
21. Bewitched
22. Johnny One Note
23. The Surrey With The Fringe On Top
24. Lover
25. Manhattan

Personnel:
[1-12] OSCAR PETERSON, piano
RAY BROWN, bass
ED THIGPEN, drums

Chicago, July 21 & August 1, 1959.

[13-25] Bonus tracks
OSCAR PETERSON, piano (also vo on 14).
BARNEY KESSEL, guitar
RAY BROWN, bass

(13) Los Angeles, May-June 1952
(14) New York, May 21, 1953
(15-16) Los Angeles, December 6, 1953
(17-24) Los Angeles, December 7, 1953
(25) Los Angeles, December 10, 1953

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