TZ 7146:Oren Bloedow and Jennifer Charles "La Mar Enfortuna"(2001)

 沈鬱なアラブ風味のポップス。爽快さよりただ、穏やかに時間が流れていく。

 全10曲、歌もの中心のアルバム。10分越えの曲もひとつあるが、バラッドのように演奏の合間へ歌が挿入された。生演奏のアラブっぽい旋律が淡々と続くアルバムで、最初はユダヤ人がらみで選ばれた、中近東ミュージシャンのアルバムかと思ってた。西洋かぶれなアレンジが中途半端なミクスチャーかな、と。
 
 ところがミュージシャンの経歴をWikiで検索してビックリ。二人ともアメリカ人だった。アメリカ人による異文化/他言語でのエキゾティックさを追求した音楽だったのか。ならばこの西洋音楽との混淆ぶりもすとんと腑に落ちる。
 
 サウンド的にはあまり陽気な音楽ではない。アラブ伝統音楽を追求でもなく、ポップ風味にとどまりグルーヴを目指してもいない。シューゲイザー的な内省さを持つ。
 アラブだけでなくシャンソンなど欧州の影響も聴けるサウンドだ。華やかさや中東のダイナミズムを成熟させるより、独自の昏い世界を作ることがバンドの目的か。

 日本人の視点から見ると、アメリカ人のフィルターを通した中東解釈って世界に行くため、二重三重の変貌を楽しむってこともできる。もうちょっと、サウンドが明るいといいのにな。

 デュオ名義だがもともと二人はElysian Fieldsというユニットを95年に組んでいる。あちこちのレーベルから現在まで10枚近く作品をリリースしており、その一環が本盤となる。今年、新譜"Ghosts of No"をリリースした。ただし持ち味はアラブ風味ってわけでもないらしい。14年のPV"Bend Your Mind"ではエレクトロ風味が強かった。エスニック一辺倒の音楽性ではなさそう。
 

 ならば本盤はどっぷりとアラブの伝統音楽へ踏み込んだ作品ということか。
 収録10曲中、(1),(2),(4),(8)~(10)がトラッド。(3)が12世紀のアラブ音楽家Abu Bakr ibn Zuhr al-Hafidの曲。残りがBloedowのオリジナル。
 ほとんどの演奏をOren Bloedowが多重録音しており、数曲で Jamie SaftやKenny Wollesenを招いた。管と弦はゲスト・ミュージシャン。リズムはシンプルで上物をそっと飾る。

Track listing:
1 Lamma Badah 3:16
2 La Rosa 5:59
3 Ayyu-Ha S-Saqi 3:44
4 Quinze Años 4:06
5 El Ladrón 2:19
6 Salome 5:48
7 Los Marineros 3:47
8 A La Uno Yo Nací 4:30
9 Porke Yorach 10:14
10 Yo M'Enamorí D'un Aire 4:09

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