Abdullah Ibrahim 「Black Lightning」(1975)

 骨太な南ア式ジャズを、オリジナルとカバーで表現した。

 彼の南ア時代音源をLPの並びで聴いてみよう、の企画第二弾。なお一連の再発CDシリーズは、もしかしたら当時の南ア音源を網羅してないかも。契約の関係か。全貌がくっきり明確にリイシューされないかな。
   

 本盤のメンバーは"African Herbs"(1975)とかぶるが、組み合わせが違うため別のセッション音源となる。基本はホーン隊3人のセッション、B2のみBasil Manenbergとの1ホーン・カルテットだ。
 A面こそ長尺1曲で突き進むが、基本はバラエティさを狙ったLPとなる。

 A面は雷鳴のSEからの演奏へ。"African Herbs"での"Soweto Is Where It's At"に赤子の鳴き声SE入れるのと同じ発想。効果的だが荒っぽい演出だ。
 ここでのホーン隊リフはテナーが二人いるためか、重心が低めに響く。生ピアノのうねりから拍頭をタイトにハイハットで刻み、ベースがうねった。
 
 テナー・サックスのたっぷりスペース取ったソロは。パワフルだが線が細く、いぎたない。そこから強いアタックなフルートのソロへ切り替わる。さらにサックスへ、アドリブが回った。どれも繊細さより、しぶといしたたかなパワーが魅力だ。

 終盤は唸りながら、イブラヒムもピアノを叩きのめした。元はこれ、トラッド曲らしい。

 ムードは似通った穏やかさだが、コンパクトにまとめたのがB1。ふくよかさがさらにパワフルへ向かって、小気味よさも。長尺なA面も良かったが、ぱっと当時の魅力を楽しむなら、こっちか。
 生ピアノの硬質な響きが、エレキベースに支えられ、強靭なグルーヴを作った。ホーン隊の響きも痛快で爽快。
 
 B2はエレピでブランドが素地を作り、勇ましくBasil Manenbergがサックスを吼えさせた。乾いたビートがタイトに刻み、ベースがうねってファンクネスを作るアレンジ。本盤全体に言えることだが、ここではドラムが手数多く跳ねる。これが本曲のみで叩いてる、Monty Weberの個性か。

 この煽り倒すドラマーに引きずられ、ものすごく前のめりなかっこよさがあり。
 サックス・ソロも時たま音色が怪しいが、基本は気持ちよく朗々と吹きまくった。
 フレーズをかぶせ合う鍵盤とサックスの掛け合いもいい。フェイドアウトで終わってしまうのが惜しいな。

 B3はモンクの名曲。このメンツでアメリカのジャズをやったらどうなる?って疑問へ見事に応えた。やはり分厚いホーン隊の迫力と、軽やかなドラムの対比が小気味よく面白い。きっちりピッチが揃わぬブラスの荒々しさが、奇妙な揺らぎを作った。

 気持ちよいスイングではあるが、粘るベースの感じが彼らの独自性か。お遊び的にあっさりとソロが回っていき、幕が下りた。

Track listing:
A Black Lightning 19:45
B1 Little Boy 8:28
B2 Black & Brown Cherries 7:22
B3 Blue Monk 6:01

Personnel:
Piano - Dollar Brand

Bass - Sipho Gumede (tracks: A, B1, B3),Basil Moses (tracks: B2)
Drums - Gilbert Mathews (tracks: A, B1, B3), Monty Weber (tracks: B2)
Alto Saxophone - Kippie Moketsi (tracks: A, B1, B3)
Flute - Basil Manenberg (tracks: A, B1, B3)
Tenor Saxophone - Basil Manenberg, Duku Makasi (tracks: A, B1, B3)

Producer - Rashid Vally

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