Acid Mothers Temple 「Soul Collective Tour 2003」(2003)

 3ユニットの音源が名刺代わりに収められた。三者三様の密やかで幻想的なサイケ絵巻。

 アシッド・マザーズ・テンプルが03年に行った「the AMT Soul Collective Tour」の物販用に作ったと思われるCD。1000枚限定。
 "Let it be"を模した紙ジャケットで3種類の音源が収められた。

 (1)は河端一の即興ギターソロ。後半はAMTの代表曲へ変化する。録音時期は不明だが、オーバーダブなしで弓弾きと思われる音色を駆使した。静かだが轟音のうねりをうかがわせるサイケな音像が広がる。
 
 (2)は03年2月のスタジオ録音で、Pardonsの演奏。Pardon Dos, Pardon Unoと覆面ユニットの形態をとってるが、東洋之とCotton Casinoのデュオ。シンセとギターの交歓だ。
 (3)はつるばみ。河端と東に恵美伸子のギター・トリオ。名古屋の得三でライブ録音、オーバーダブなし。

 当時のツアーはこれにくわえAMT名義で4バンド構成のライブかな。この3バンドだけ、かな。
 archive.orgを初めとしてネットにライブ音源が多数出回るが、このSoul Collective Tour音源はarchive.orgに掲載無く、他でも見かけたことが無い。

 約1時間の河端ソロ動画がYoutubeにあった。03年6月15日、フィラデルフィアのライブ。これがSoul Collective Tour音源かな?

 本盤は9月のリリースとあるため、この後に河端はもう一度、本盤を引っ提げAMTでアメリカツアーしたのかも。
 なおこの年はAcid Mothers Temple mode HHHと銘打って、河端と津山篤、吉田達也の聖家族トリオで欧州ツアーも敢行した。Acid Mothers Gongのロンドン公演も同じ2003年。


 美しさで言うと、(1)が格別だ。和音っぽく広がるうねりは着地点を見出さず、ふわふわと漂い続ける。たっぷり浮かんだあと、おもむろに現れる"Pink Lady Lemonade"のイントロ。このアルペジオも存分に聴かせ、じらせまくる。
 さらにアルペジオそのものもディレイ・ループかな。歯切れ良いフレーズが粒立ち、流れる横で再び、粘りながら広がるエレキギターの響きが滑らかに漂った。20分越えの演奏だ。

 (2)はむしろサイケな幻想性へ軸足を置いた。河端ソロよりもっと瞑想的でディレイとリバーブを駆使した危うい震えっぷりが心地よい。淡々と時間が経過していく。
 足元の地平を廃し、重力を解体しくびきを取り除いて浮遊が続く。
 頼りどころ無い不安定なシンセが泡立つ。次々に静かながら音が増え、リバーブの海を泳いで消える。残響のうねりがわずかな小節感を作るけれど、それに縛られてもいない。
 一人がシンセを操り、もう一人がシンセともギターともつかぬ電子音と女性声を出して、時にポリリズミックに音を重ねた。
 バトルではない。てんでにフリーでもない。だが、調和とも言いがたい。二人の音は激しい自己主張をせず、電子音の強い響きを出し合う。そしてそれらが混ざり、ふわふわと泳いだ。

 21分の演奏。10分前後で女性の声が同時進行で複数流れ、しばしのアカペラ状態からシンセがグワッと溶かされた瞬間がスリリングで良かった。

 (3)はあからさまな轟音サイケ。(2)で静かに穏やかな耳が、いきなり本曲冒頭で蹴飛ばされる。
 エレキギターが激しく吼え、ドラムは武骨に乱打を続ける。シンセは空間を乱雑に潰した。
 ライブ前半をカットかもしれないが、音源的にはいきなりトップギア。歪んだ音色で細かい部分はあやふやだが、飽和した音像が噴出した。

 目立つのはエレキギター。耳を澄ますとドラムの連打が聴こえる。あとはさらに鈍く重たくノイズが空間を埋めた。これでもまだ音質は良いほうかもしれない。音楽のムードが伝わってくるから。
 激しい奔流だが一本調子ではなく、ゆるやかなメリハリはある。6分位でいったん頭を下げ、そこから力強く上昇するカタルシスが聴きもの。

 時間にして14分のテイク。冒頭2曲ほどは長く収録しなかった。
 なおつるばみは恵美伸子が海外移住のため、09年に活動停止だそう。

Track listing:
1.Where Are You Now ~ Pink Lady Lemonade (You Were So Sweet) (Kawabata Makoto)
2.A Pip of Pardons (Pardons)
3.Tatoe Kishiroedo (Tsurubami)

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