P-Funk All-Stars  「Urban Dancefloor Guerillas」(1983)

 失速時代のP-Funkが軽みを持って生き残りを模索した一枚。

 今も生き残るP-Funkだが、本質的な全盛期は70年代。パーラとファンカの二つを使い分け、のしまくった。だが80年代のシャレのめした軽佻浮薄な時代が到来し、ちょっと陰りを持った70年代と時代が変わる。ディスコ全盛期を経て、さらにサウンドは軽みを増した。

 そんな時代にパーラとファンカを解体し、受け皿で存在したのがこのバンド。発売は83年、ほぼ同時期にクリントンの2nd"You Shouldn't-Nuf Bit Fish"を発表という。スケールを小規模にしながらも、過剰なリリース体制はなるたけ変えたくなかったらしい。
 ぼくはリアルタイムではないが、88年前後に本盤を聴いた。このころはさらにP-Funkが落ち目で、レコ屋行っても盤が全然なかった時代。LPはあらかた廃盤か少なくとも日本の輸入盤へろくに入ってない。CD再発も行われてなかった。

 レココレ誌のP-funk特集を横目にレコ屋で手にしたのがこれ。何だこりゃ、と最初は思った。山下達郎がラジオで熱弁振るう漆黒さは無く妙に軽い。ブーツィ・コリンズとか、参加してるのにな。
 今回調べて知ったが、当時の主だったメンバーは本盤に加わってた。ベテラン勢とブラックバードを筆頭の次世代を引っ張る双方が。
 さらにゲストでスライ・ストーンやボビー・ウォマックの名もある。たぶんツアーの合間にそこらで録った楽曲を並べたのではないか。作曲クレジットもまちまち。わさっとしたP-Funkスタイルだ。

 とにかく80年代はP-Funkの大勢で盛り上げるスタイルはヒットチャートと親和性悪かった。テクノを象徴として軽くて浮つき、機械仕掛けで打ち込みがかっこよく思えてたから
 縮小再生産。そんな寂しいムードを漂ってた。逆に強烈なファンクネスって観点は、本盤から聴き取れなかった。むしろ時代と折り合いつけて落ちぶれたって印象。

 プリンスの力借りて、ヒップホップ風味混ぜてクリントンが復活はかった"The Cinderella Theory"が89年。なんだか安っぽいジャケットでわけのわからない"Live At The Beverly Theater In Hollywood"をP-Funk All-Stars名義で出したのが90年。P-Funkの復活は90年代まで持ち越された。

 むしろブーツィのほうが派手な格好でビル・ラズウェルと暴れて居場所を先に作ってた気がする。
 そもそも80年代は過去を再評価の文化が無かった。90年代にCDで復刻されタワレコを筆頭に過去も現在も並行して売る、時代をごちゃ混ぜにした商品価値って発想の転換だった。今はYoutubeの発達で、さらに過去の見直し具合が身近さを増している。
 なんだかんだで、今もP-Funkがリアリティ持って存在し続けるとは。80年代は想像もできなかった。

 さて、本盤。個人的にめっちゃ気に入ってたのが"One Of Those Summers"。ジュニーの曲だが・・・わかってる、まったくP-Funkらしくないポップ・ソウルだ。とはいえこのポップさが、妙に沁みたんだ。
 後年、就職して数年仕事に追われる94年頃にこの曲の持つ明るさに救われた。カセットへダビング、ウォークマン使って出張先で聴いてた記憶ある。大サビの"Summer!"って展開が好きだった。

 他の曲は当時、ピンと来なかったが・・・。かなり久しぶりに聴き返すと、思ったより直系のP-Funkを堂々とやっていた。ぱしゃぱしゃとリズム・ボックスを投入し、時代との融和性を探りつつ。シンセも音色がデジタルなのか、なんだか硬い。
 
 爽やかさの中に、女性コーラスのフレーズ感にP-Funk印を感じる(1)。コード進行もなんか、いかにも。ロジカルに定義できないのが悲しいが。(2)は逆に新世代の息吹を漂わせるシャープなノリ。(3)は良い曲だが、やっぱりこの盤では異色だ。

 タテノリでぬめっと進む(4)から、B面になって一気にテンションが上がる。
 怒涛なファンクでどっぷり70年代センスの(5)あたりが真骨頂か。少しばかり隙があり、濃密さにムラがあるけれど。
 (6)もホーン隊がみっちり並び、大編成で賑やかに噴出するファンクだ。(7)はむしろ80年代色を取り入れたっぽい。ぴこぽことエレクトロな軽さあり。

 こうしてみると、ヒップホップ色は皆無。あくまでファンクを基調に置き、変わらない。楽器や編成、予算をつじつま合わせながら、70年代の熱気をかき集めてる。
 P-Funkはしぶとく生き延びようとしてた。そんな盤なんだな、これは。 

Track listing:
1. Generator Pop 4:58
2. Acupuncture 4:20
3. One Of These Summers 4:34
4. Catch A Keeper 5:46
5. Pumpin' It Up 6:58
6. Copy Cat 5:10
7. Hydraulic Pump 6:40
8. Pumpin' It Up (Reprise) 0:18

Personnel:
Norma Jean Bell
Muruga Booker
Greg Boyer
George Clinton
Bootsy Collins
Kenny Colton
Gary "Mudbone" Cooper
Benny Cowan
Janice Evans
Ron Ford
Mallia Franklin
Jimmy Giles
Richard Griffith
Michael Hampton
Larry Hatcher
Shirley Hayden
Eddie Hazel
Sheila Horne
Robert "P-Nut" Johnson
Jerry Jones
Lynn Mabry
Jeanette McGruder
DeWayne "Blackbyrd" McKnight
Walter "Junie" Morrison
Maceo Parker
Michael "Clip" Payne
Dean Ragland
Garry Shider
Linda Shider
David Spradley
Donnie Sterling
Sly Stone
Greg Thomas
Tony Thomas
Fred Wesley
Bobby Womack
Debbie Wright
Philippé Wynne

関連記事

コメント

非公開コメント