Dionne Warwick 「Only Trust Your Heart」(2011)

 いい歳の取り方をしたっていうべき?マイペースながら落ち目。歌のうまさは地力を見せつけ、肩ひじ張らぬアルバム。

 ソニーの傘下なレーベル、RED Distributionからワンショット契約、前作から3年ぶり。
 ええと、本盤はスタンダード集かな?まだまだ企画モノの行脚は続いてる。94年"Aquarela do Brazil"から17年間ずっと、新曲群のポップス狙いなオリジナル・アルバムって出してない。
 本盤のあともマイナー・レーベルとワンショットでアルバムを2枚出してるが、もういいや。聴く気が起きない。物悲しい凋落ぶりって感じてしまった。

2012 "Now" H&I Music
2014 "Feels So Good" Bright Music
2015 "Tropical Love" Sony Music Commercial Music Group
           ("Aquarela Do Brasil"(1994)のアウトテイク集)

 とはいえ本盤を出した時点で、ディオンヌは70歳を超えた。もはや老後をのびのびと過ごしてる。自己破産みたいな話は、横に置いて。
 音楽的には挑戦よりも、自分の財産をゆっくり咀嚼で充分かもしれない。年寄りの冷や水や、いつまでも若々しいギラギラしたビジネス追求とは別に、緩やかな人生の締めを楽しむ。そう考えたら、本盤も悪くはないかな。

 結局ディオンヌって歌唱のテクニックは素晴らしかった。だがバカラックの子飼いとして個性を消した歌声でこそ映え、エゴを出した楽曲では成功せず。結局、優秀なプロデューサー探しで70年代以降は苦労した。ふらふらと寄る辺を探しつつ、止まり木を見つけきれないまま、人生を過ごしたイメージがある。

 残念ながらキャリアを振り返って歴史に残る代表作、これぞって唯一無二で残したい盤は思いつかない。一通り、色々聴いてみたんだけどな。とりあえずあれこれ聴いたのは、無駄ではなかった。歌手の難しさをしみじみ思う。別にディオンヌも僕なんぞに同情めいた言葉はかけて欲しくなかろうけども。

 本盤もBGMなら極上だろう、演奏もシンプルだが手堅い。スイング・ジャズ風味の楽曲は、古めかしいが強度あるメロディだ。ディオンヌの声は声量より、さりげなく流す滑らかな余裕を振りまいた。
 カッチリ作りこまれたアルバムだ、むやみに予算をかけずに小粋さを狙い、うまくまとまってる。

 いいとこ探しに困らない盤だ。でも僕は、いいとこを探して聴くよりも、才能に圧倒される音楽を聴きたい。

Track listing:
1. Only Trust Your Heart 4:31
2. You I Love 2:26
3. I'm A Fool To Want You 4:10
4. Wonder Why 2:49
5. If You Can Dream 4:02
6. The Second Time Around 2:30
7. Come Out, Come Out Wherever You Are 2:30
8. I'll Never Stop Loving You 5:08
9. Some Other Time 2:48
10. I Fall In Love Too Easily 3:40
11. Keep Me In Mind 3:52
12. And Then You Kissed Me 2:56
13. Pocketful Of Miracles 2:42

関連記事

コメント

非公開コメント