KK NULL 「0.0004」(1999)

 硬質で律儀な電子ノイズが様々に脈動した。メカニカルだが筋肉質に感じるのは強靭なKK NULLのイメージがあるせいか。

 KK NULLの自宅スタジオPrima Naturaで97年12月~翌98年1月にかけ録音の11曲を収めた。リリースはちょっと飛んで99年に米Vinyl Communicationsからリリースされた。金属仕立ての内臓みたいなCGを駆使したジャケット・デザインも無機質なクールさが良い。

 1分程度の短い作品から7分越えまで。あまり無闇な長尺にせず、コンパクトに仕上げてる。
 演奏はエレキギターとNullsonicと呼称するエフェクター。ディレイ中心なのか、ミニマルに畳みかける印象あり。ノイズだがきらびやかなきらめきを持ち、あまりハーシュに崩れることはない。
 
 豪快な風貌からもっと剛腕なノイズをイメージするが、ここでは混沌より機械仕掛けの構築を意識した、まじめで繊細なアプローチだ。むろん偶発的な要素を大切にしつつ。アイディアを組み立て、その持続が本盤のテーマかのよう。

 加速する性急さと緻密に繰り返される規則性の双方が混在した。象徴的なのが(3)。次第にBPMが加速して酩酊感が押し寄せる。だがサウンドはたやすく崩れず、ぎりぎりまで輪郭と内部構造を維持した。その崩壊に至る緩やかな過程が迫り、息苦しくも乱れさせない不思議な強迫観念を持つ。
 個人的にこのパターンは弱い。なんだか落ち着かない。トラウマを刺激される。だからこそこの音楽の刺激に惹かれた。(10)もそれに近い。

 派手に振動する(6)のハーシュもそうだ。高速に波打つ電子音が左右をせわしなく飛び交う。けれどもランダムではなく明確な規則性を持った。この小節感を生かした跳躍は慌ただしくも明確な法則性が、締め付ける凄みを内包した。何が起こるかわからぬ不安定さでなく、何が起ころうとも破綻しない意思と強さをがあり。そんな頼もしさ、もしくはブレなさがKK Nullの特徴か。

 シンプルな動きで揺らぐ(7)や沸き立つ(9)も不思議なスリルあり。金属製で編み目の荒いネットの上を恐る恐る歩くイメージが浮かんだ。間を取り損ねたら真っ逆さま。身を切り裂かれそう。
 (11)のせわしなさは逆に、仕事を煽られてる気がするな。聴いてて脳裏に現実と非現実が混ざり合う。

 楽曲によって音像や響きは異なる。基調はループ感覚。だが音色やビート性は変えた。でもどこか性急なリズムは似通ってる。ある意味ダンサブルなテンポながら、ほんのりエッジの立ったノイズっぷりと、メカニカルに過ぎる音色が落ち着いた踊りに結び付かない。
 (5)のようにどこかユーモラスで躁なムードを持つ曲は、阿波踊りみたいなテンションに合いそうな気もするけど。

Track listing: 
1. Untitled 4:52
2. Untitled 1:08
3. Untitled 5:48
4. Untitled 1:46
5. Untitled 4:18
6. Untitled 1:29
7. Untitled 6:06
8. Untitled 3:30
9. Untitled 7:55
10. Untitled 3:03
11. Untitled 5:17

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