Sun Ra And His Arkestra 「Jazz in Silhouette」(1959)

 ジャズと自らの音楽へ折り合いを模索した一枚。聴きやすく、じわじわと独自の世界が広がる。

 59年3月6日、シカゴでのスタジオ録音。この時代はアーケストラでサン・ラの音楽を具現化する過程に思える。まだ自分のブランドを確立しておらず、試行錯誤と拡大発展の渦中にあった。アーケストラのメンバーへの教育も兼ねていたのではないか。
 ここではリズムはピアノ・トリオのみ。とにかくホーン隊のバラエティさに拘った。

 サン・ラは膨大な録音を行っており、この日も本盤のみを録ったわけではないらしい。つまりアルバムのコンセプトありきでなく、まず作品を数多く残したのち音盤化を試みた。その中で本盤は録音直後にLP化されており、サン・ラも手ごたえもしくは自信ある曲を集めたと想像する。今、MP3盤では当時の音源2曲をボートラについた。

 本盤のポイントはビッグバンド・スイング的な分厚さと、スペイシーな混沌の融合のオリジナリティ。
 A2を筆頭に重要なレパートリーが収められた。本盤には明確な「楽曲」が詰まった。決して実験的なインプロが主体ではない。このあとのNY時代にはアイディアをそのまま録音して作品とした、自由なアプローチもあるけれど。少なくとも本盤では統制が取れている。

 エキゾティックな世界観はエリントンからの影響か。ハード・バップな(3)のように展開もあるけれど、7管もの大編成が産む膨らんだ炸裂は、むしろビバップ以前のスイング時代に聴こえる。かっちりアンサンブルが成立することで、ソリストの個性を豪快に受け止められる世界観を作った。
 アフリカっぽいエキゾティシズム、骨太のグルーヴが全編を覆う。ソロの展開やアレンジの一部に奇矯な要素を混ぜ込んで、サン・ラ流の世界を描いた。

 基本はサン・ラの自作。A1とB1それぞれにHobart Dotson(tp)と、Everett Turner(tp)がクレジットされた。双方ともアーケストラの関係者で、ドットソンは本盤に参加もしてる。
 
 オーソドックスにスイングするB1、やB3も、サン・ラの作曲だ。B3はロマンティックなピアノ・ソロで幕を開ける。要はその気になれば、サン・ラはいわゆる普通の曲もかけた。メンバーたちも楽曲によってスイングからモダンまで色合い違うソロを奏で、場合によってサン・ラ流の独自性も出せる。
 つまりテクニシャンが揃ってた。超絶技巧の意味では無く、幅広い音楽性を内包したって意味で。

 いばらの道だ。まっとうなジャズを演奏しながら、敢えて特異なサウンドを表現する。別に大金持ちの道が明確なわけでもない。よほどサン・ラに心酔していたのだろう。
 そのサン・ラが提示した、当時の最上であろう音楽をまとめたのが本盤だ。

Track listing:
A1. Enlightenment
A2. Saturn
A3. Velvet
A4. Ancient Aiethopia
B1. Hours After
B2. Horoscope
B3. Images
B4. Blues At Midnight

Personnel:
Sun Ra - Piano, celeste, gong
Hobart Dotson - Trumpet
Marshall Allen - Alto sax, flute
James Spaulding - Alto sax, flute, percussion
John Gilmore - Tenor sax, percussion
Bo Bailey - Trombone
Pat Patrick - Baritone sax, flute, percussion
Charles Davis - Baritone sax, percussion
Ronnie Boykins - Bass
William Cochran - Drums

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