Sun RA i-tunesプロジェクト

生誕100周年を寿いで、再発プロジェクトが2014年にi-tunesで行われた。

どうも過去のジオシティ日記は検索性が悪い。こちらに再投稿しておく。

専用リマスターでアナログ・マスターを24ビット変換と音質向上も売り。さらに初ステレオ音源や既発曲の未編集など、初回リリースもあるらしい。
膨大なリリースを誇るサン・ラだけに、かさばらないデジタルリリースは、ある意味良いかも。ただしジャケットの愉しみ無いのは否めないが。

サン・ラの名前知ったのは、たぶん88年頃。P-Funkの解説文で、じゃないかな。当時を知る人はお分かりのように、CD化の端境期でレコード屋でまともに音源を置いてない。
"Reflections in Blue"(1987)くらいかな、良く見かけたのは。だが本盤はフュージョン・スイングみたいな印象を受け、あまりピンとこなかった。
88年に初来日をしたが、当時はライブに行く習慣が無くて聴きそびれ。

もっと前衛のサン・ラを求めつつも音盤が手に入らぬ日々が続く。ようやく手軽に聴けたのが92年頃。Evidenceが2in1も混ぜて、サターン音源をどどっと再発した。
今度は盤が多すぎてイメージがつかめない。多すぎても少なすぎても難しい。

サン・ラのキーワードはスイングとフリー。大編成のアーケストラが最も目立つイメージだが、音だけでは祝祭空間的な開放感はあまり無い。聴き手の盛り上げより、もっと内省っぽい。ライブ会場では知らないが。
フリーだけじゃ、アメリカのクラブ・ツアー興行が成り立たぬ。そこでサン・ラにとって血肉なスイング。このフリーとスイングを行き来でライブを組み立てたのでは。

ライブ先で録音した音源をLP化しツアー中に販売、維持費を稼いだと伝えられる。さらに自らの音源をツアーの販促グッズと捉え、コレクション性を煽る。この販売戦略観点において、ビジネスの先鋭性をサン・ラは持っていた。大儲けかは知らんけど。

さて、今回i-tunes再発音源21枚をざっと整理してみた。サン・ラのデータには、こちらを参照した。http://www.the-temple.net/sunradisco/
今回はAstro Black (1972) と Universe in Blue (1972) が初のデジタル再発じゃなかろうか。アルファベットが当時のEvidence再発。それ以外の2枚は過去にCD再発あり、
レア音源含む盤が多数。マニアックに攻める再発だのう。

<今回再発盤リスト>
(a) Supersonic Jazz (1957)
(b) Sun Ra Visits Planet Earth (1958)
(c) Angels and Demons At Play (1965)
(b) Interstellar Low Ways (1966)
(d) Jazz in Silhouette (1959)
(c) Nubians of Plutonia (1966)
(e) Sound Sun Pleasure (1970)
(f) We Travel the Spaceways (1967)
(g) Fate in a Pleasant Mood (1965)
(h) Holiday for Soul Dance (1970)
(g) Bad and Beautiful (1972)
  The Invisible Shield (1974) [99年,Music]
(h) When Sun Comes Out (1963)
(i) Cosmic Tones for Mental Therapy (1967)
(j) Monorails and Satellites, Vol. 1 (1968)
  Other Planes of There (1966)
(k) The Magic City (1966)
  Strange Strings (1967) [07年,Atavistc]
(l) Atlantis (1969)
  Astro Black (1972) 【初再発】
  Universe in Blue (1972) 【初再発】

サン・ラの今回i-tunes再発アルバムに、ボートラの有無などを整理した。なおi-tunesの音源はすべて未聴。デジタル配信はつい「いつでも買えるや。後でいいや」となってしまう。
 
しかし今回再発でステレオ化って何だろ。アナログ・マスターからリマスターとあるが、当時にモノとステレオの2テイク録ったの?タイム表記見る限り、今回ステレオ化音源は、モノと同テイクっぽい。4chなりのマルチがあって、左右に振ったってこと?

Supersonic Jazz (1957)
 i-tunes再発でレア音源は無い。
 スピーディでも、どこかまったり。混沌はうっすら、手探りっぽい。ただしフリーな場面も耳ざわり良いフレーズが多く、入門編に良いかも。
 コンボ編成だが妙に大編成で聴こえる。クレジットを信用すれば、既にエレべをアンサンブルに導入曲もあり。サン・ラのエレピ・ソロな1曲は、鍵盤と戯れてるかのよう。
 ロマンティックなバラード(6)を聴くたび"ムーンライト・セレナーデ"を連想する。バラエティに富む(ぶっちゃけ)ごった煮の盤。

Sun Ra Visits Planet Earth (1958)
 "Planet Earth"のステレオ音源、がi-tuens再発の売りかな。
 B面は本盤はのちに"Sound of Joy"(1968)へ再利用された。A面は5分程度が3曲とコンパクトな構成だ。Evidence再発CDでは曲順やA面B面順が改編された。
 サウンドは心地よい。テンポは緩め。ほんわかエキゾティックで胡散臭い金物Perに載ってソロが回る。ぼくは好き。いやはや、つかみどころ無い。何も考えてないのかも。 
 アンサンブルはテーマやリフを挿入、譜面とフリーの分岐点を想像し聴きいるのも楽しい。
 書き忘れたがMarshall AllenやJohn Gilmore、Pat Patrickといったアーケストラ重要メンバーは既に参加している。

Angels and Demons At Play (1965)
 i-tunes再発でレア音源は無い。
 50年代と60年代の録音を混ぜた編集盤。(1)から妙にズレた金物を打つ、ユルいビートに挫けるが、根本はグルーヴィ。へんてこな気分を楽しめる。
 A面はがっつりフリー寄り。生ヌルかっこいい。B面はスイング寄り。威勢は良いが、ちょい上滑り。
  
Interstellar Low Ways (1966)
 タイトル曲のステレオ音源、がi-tuens再発の売り?この盤もお薦め。
 "宇宙"志向でアッパーなスイングが楽しめる一枚。アレンジはオーソドックスなコンボ編成なのに、妙に飛んで聴こえるのは何故だろう。二拍子ノリのアンサンブルとドラムのスイング感が微妙に揺らぐ。
 曲によって参加メンバー違うので、複数セッションをまとめた盤かも。すべて自作曲、ラーのコンセプトは固まり、焦点は合ってきた。B面はがっつりハード・バップ。黒く粘っこく迫る。

Jazz in Silhouette (1959)
 数曲に記載された"ステレオ音源"、がi-tuens再発の売りみたい。
 管が7人の大編成で、58年末のスタジオ音源。ラーの自作がほとんどだが、Hours After (E.J. Turner) を取り上げた。E.J. Turnerって誰だろう。
 うっすらスペイシーで、すっきり制御されたアンサンブルはビッグバンド風の痛快さだ。見通し良くイキがいい。11分もの最終曲は、ハード・バップとスイングをつなぐようなジャズを聴かせた。それにしても"Saturn"は名曲。大好き。

Nubians of Plutonia (1966)
 i-tune再発で4曲のボートラを投入した。当時のアウトテイク?
 いわば暗黒面にスポットを当てた。最初に手を伸ばすアルバムではない。
 58-59年に各地のライブ音源から抽出して、薄暗く奇妙に胡散臭い世界が広がる。サン・ラはさほど目立たず、フロントのホーン隊がじっくりソロを取った。
 ときおりアンサンブルがとっ散らかっても構わず収録なあたり、選曲基準は不明だ。単調でテンポも粘っこいし。当時、どれくらい観客は盛り上がったのやら。
 サン・ラは"Nubia"で長いソロを取る。まるでドラムと対話のように。
  
Sound Sun Pleasure (1970)
 i-tunes再発での差異点は見当たらず。
 今までの独自路線と一転して、スタンダード集。洗練されたアンサンブルは、アーケストラの着実な実力を十二分にうかがわせる。サン・ラを聴くのに敢えて本盤を選ぶ必然性は無いが、スイング感あふれる演奏は悪くない。
 ときどきソロのフレーズに、妙なフリーっぷりが滲むのがアーケストラの真骨頂か。

We Travel the Spaceways (1967)
 i-tunes再発での差異点は見当たらず。
 56-60年までの各音源をまとめた。サターンには良く、このパターンがある。裏には膨大な未発表音源が眠ってたのでは。全てがラーのオリジナル曲。本盤では新味を出さずに、過去の集大成って色合いもありそう。
 不安を漂わすリズムやムードは、アーケストラ流の洗練を見せている。この盤も入門に良い。肝心の演奏に、もうちょいパンチが欲しい。とぼけた味わい、とも言えるが。
 ポリリズム的な展開はサン・ラの意図か、わからない。単にずれてるのかも。

Fate in a Pleasant Mood (1965)
 i-tunes化で"Lights on a Satellite"のシングル・テイクを収録。今回が初デジタル再発かな?本盤は未聴でコメントできず。
 
Holiday for Soul Dance (1970)
 i-tunes再発での差異点は見当たらず。
 前述の"Sound Sun Pleasure"同様にスタンダード集。スペイシーな独自路線にドップリな一方で、強烈ポピュラー路線を離さぬバランス感覚が、サン・ラーにはある。ただしあえてサン・ラーの耳ざわり良い盤を聴きたいかって点もあるけど。
 整った演奏で、破綻は全く無し。それこそ小粋なBGMにも使える。逆にエンターテイナー路線でも活躍できるのに、混沌フリーに突入の道を選ぶのがサン・ラーの業か。 
   
Bad and Beautiful (1972)
 発売は72年だが録音は61年。サターン原盤で2年後にインパルスから再発された。i-tunes化にあたりボートラ1曲あり。スタンダードと自作の混在だが、うまくサン・ラ色に染まってる。こういうほうが好み。
 顔ぶれは曲によって違うが、ほぼコンボの編成。アプローチは小細工やでたらめで色を変えない。音色やアレンジの風景で独自性を出す。論法がエリントンと似てるかも。全体でエコー成分を増し、浮遊感を演出した。
 小品だが悪くないアルバムだ。とはいえ時代面では、サウンドそのものは古臭い。既にサン・ラはトレンドと別路線を走っていた。

The Invisible Shield (1974)
 i-tunes再発で完全版1曲、ボートラ1曲、ステレオ化4曲と盛りだくさん。
 本盤は未聴で、コメントできず。A面が自作曲とスタンダードの混在で62年の録音。B面が70年のライブで自作曲と、バランス良くサン・ラ-の多様さを表現か。

When Sun Comes Out (1963)
 こちらもi-tunes再発には"完全版"が2曲、ボートラ1曲、ステレオ版4曲。アルバムとしては自作曲を並べている。
 本盤は未聴で、コメントできず。なんだ、このへん聴き洩らしてたのか。

Cosmic Tones for Mental Therapy (1967)
 i-tunes再発でボートラ1曲あり。
 どっぷりフリー寄り。63年の録音で全曲がサン・ラーの自作。エコー満載のパーカッションが延々続くあたり、いかにもなムードだ。サイケにも取れるアプローチだな。
 少々単調な場面もあるが、サン・ラの方向性が見事に昇華された一枚。一定ビートと夢幻を混ぜ、ひたすら続くソロが漆黒の闇に包まれた宇宙を表現する。
 じわじわと良さが伝わってくる、代表作ともう。
   
Monorails and Satellites, Vol. 1 (1968)
 ボートラ6曲と派手なi-tunes再発だ。
 本盤は未聴で、コメントできず。うわ、これも既聴と思ってた。けっこう聴き漏らしだな。

Other Planes of There (1966)
 i-tunes化の変化点は無さそう。フリー寄りでどちらの面も20分以上と長尺だ。管が9人にドラムが二人。クレジットは大編成なのに、最初は音数が少ない。
 フリーキーな木管のソロが幕開けと、ある意味まっとうにフリー。無造作に音を出し合ってるようで、いまいちハマれない。カタルシスの無い展開のアイディアは面白い。

The Magic City (1966)
 i-tunes化で4曲中3曲にステレオ表記が付いた。代表作だと思う。繰り返し聞きたくなる盤じゃないが。
 A面は65年のリハーサル音源で、27分半もの長尺。良く言えば混沌フリーで、サン・ラ独自世界と解釈したら楽しめる。とはいえ練習の垂れ流しでは無い。セッションじゃないかな。
 B面は65年NYのライブ音源。アーケストラのクレジットは10人、他に打楽器奏者がいたらしい。こちらは3曲、トータル18分。アプローチはA面と変わらない。ビート性が薄いため、とっつき悪い。しかし本作みたいに訳が分からないサウンドこそが、ぼくにはサン・ラなイメージだ。
    

Strange Strings (1967)
 i-tunes化で3曲のボートラと派手な再発だ。だがディスコグラフィに記載の、CD再発時ボートラ"Door Squeak"は、今回i-tunes再発だと収録無い。ややこしいな。
 本盤は未聴で、コメントできず。

Atlantis (1969)
 i-tunesで"Yucatan II"がボートラとあるが、LPに未収なだけでEvidence再発時代の復刻音源と同一かもしれない。あとは別に新規の売りは無さそう。
 両面とも67~9年のリハーサル音源をまとめた。A面が20分程度で5曲に分かれ、B面が1曲22分の大作。つまりアプローチは"The Magic City"と似てる。本盤は幾分リズミックで、アフリカっぽさやファンクネスをうっすら漂わす。ただし、うっすら。
 聴きとおすには、かなりの集中力が必要だ。むしろぼんやりと聴き流す盤かも。
 ぼくは本盤より"The Magic City"を押す。しかし本盤のほうが展開は派手で、むしろとっつきやすい。

Astro Black (1972)
 未聴。i-tunes再発は曲順がLPと変わってる。ボートラは・・・なしかな?

Universe in Blue (1972)
 未聴。i-tunes再発の売りは、23分のライブ音源"Calling planet earth"がボートラ。数曲がステレオ化のようだ。

後半で未聴盤が続いて蛇尾なわりに長くなったが、今回再発の各盤の概要はこんな感じ。新規再発と、ボートラ狙いで何枚か買うってパターンか。
   

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