Wet Dream Cousin (1983)【Prince未発表曲】

 ほんのりとほのぼの、テクノなファンクのインスト曲。

 Bobby Z.にドラムを任せ、アポロニア6のアルバム用に録った曲と言われる。さらにエリック・リーズへのちにマッドハウスの元ネタとして渡した、とも。それにしてはセッション風の響きが無く、"8"にも"16"にも似合わないが。

 くっきりしたメロディのリフをシンセが奏で、サイレンみたいなフレーズを別のシンセが飾る。
 ドラムはエレクトリックで、生演奏だとしても硬質で電気仕掛けな響きだ。エレキギターでなく、音程がベンドするキーボードが中盤のソロらしきアドリブを広げた。

 結果的にシンプルにリズムを刻み、同じフレーズが続くファンク。けれども全くのループにとどまらず、違うフレーズや伴奏を消してビート強調などアレンジはあれこれ工夫あり。
 ボーカルを足す前のアイディア段階で、ここまでいろんなアプローチを試してたんだと興味深い一曲。
 リズムの明るい響きに鍵盤のアイディアを載せる。さらにビートやリフをあれこれ試した。バンド演奏を元にキューや指揮で試行錯誤ではない。あくまで多重録音で細かく変化つけるところが凄い。アイディアと構築性、双方を同時進行で組み立てたってことになる。

 これはデモに近い。だが楽曲としてあるていど、メリハリあり。タイトルが既につけられたこともあり、もしかしたらプリンスの頭には主旋律が流れていたのかもしれない。
 ほぼワンコード・ファンクだが。それともとりあえず色々と録って、そのうえでメロディをはめ込んでいたのか。
 鍵盤ソロを入れたりリズムを出し入れしたり、ミックスでの加工もある。ならばマルチは楽器が鳴りっぱなしということか。

 たまたま流出したこの音源はインストのミックスであり、マルチにはボーカルまで入っていたりして。謎が膨らみ、興味もあれこれ広がる。
 単純に楽曲のみで聴いた場合、これはシンプルなテクノ・ファンクだ。けれどもマルチを覗いたら、もっと芳醇な世界が残っているのかも。プリンスの創作過程を伺い、想像を広げるのにぴったりなインスト曲。

 単純な響きであれこれ変化する音源が流出してるだけに、妄想が色々と沸く。
 

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