Dionne Warwick 「Aquarela Do Brasil」(1994)

 前作から1年。ブラジル音楽を採用して大物歌手の路線に戻った。

 31thソロ。実際は本盤も売れずアリスタと契約が終わってしまう。生の弦を入れたり豪華な作りは最後のあがきか。同じ年にプラシド・ドミンゴのパートナーとして、ソニーから"Christmas In Vienna II"(1994)もリリース。
 貫禄も、キャリアも大物なんだよ。だがセールスがついてこない。

 本盤はプロデュースをTeo Limaへ任せた。この当時、数枚のプロデュースをこなしてるブラジルのミュージシャン。弦がたっぷり広がり、打ち込みっぽい鍵盤やビートで時代性も意識、決してアナクロ趣味ではない。
 ディオンヌの歌い方も朗々としてるんだけど・・・。どうにもみずみずしさが無い。行ってみれば「歌ってみた」の域を出ない。ボサノヴァで新境地、もしくは挑戦でなく試しもしくは好奇心って程度しか感じられない。

 ミュージシャンも現地だし、もっとガツガツしたら面白くなったかもしれない。ボサノヴァにとどまらず、サルサに寄った曲もある。
 だがディオンヌは妙に余裕たっぷり。ふっくらと甘くしなやかに歌ってしまい、うまい歌手って立ち位置を突き抜ける凄みは出せなかった。
 2曲で作曲クレジットに参加し、けっしてオケをあなた任せで歌っただけってわけじゃなさそうだが・・・。数曲では男性歌手とデュオ、ブラジルとの融和も試みてる。

 その一方でエリントンの"Caravan"をずぶずぶのサンバ式にカバー、バカラックの(5)を投入。(8)ではアフリカンな味わいを混ぜる。つまりボサノヴァなりに頭まで浸からず、どっかエキゾティックさの面白さ狙いっていう底の浅さがあり。
 五目味で腹をくくらぬディオンヌの作品の悪い癖が出た。

 楽曲を細かく調べたら面白いカバーがあるのかもしれない。でも、どうもそんな気になれず。空回りの作品だ。
 アフリカ的な合唱の(8)はけっこう面白かったが、別にディオンヌの魅力なわけでもないしなあ。

Track listing:
1. Jobim Medley
2. Virou Areia
3. Oh Bahia
4. Piano Na Mangueira
5. Captives Of The Heart
6. Samba Dobrado
7. Heart Of Brazil
8. N'Kosi Sikelel'I - Afrika/So Bashiya Bahlala Ekhaya
9. Brazil (Aquarela Do Brasil)
10. Caravan
11. Flower Of Bahia
12. 10.000 Words

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