Dionne Warwick 「Friends Can Be Lovers」(1993)

 総力戦でちょっとポップにすり寄った、3年ぶりのアルバム。

 30thソロは前作のコール・ポーターをカバー集の売れ行き不振を踏まえて、再びメジャーなヒット路線の模索に戻った。アルバム発表間隔は3年と開いている。その間、ツアーに明け暮れたか。ジャケットもこれまでのゴージャス路線から離れ、すこしビンボ臭くなった。
 本盤は売れ線黒人AOR路線を得意としたBarry Eastmondを基本プロデューサーに迎え、五目味であれこれつまみ食いは変わらず。
 
 楽曲も様々な作曲家の作品を並べた。(1)でまず、バカラック&デイビッド。キャロル・ベイヤー・セイガーでなく、デイビッド。久しぶりに共演作を投入し60年代の3人が復活した。アレンジはエレピとシンセ・ストリングスの安っぽさが時代だ。この当時は生オーケストラは予算的に合わず、シンセで代用が一般化してた。

 (2)にRichard Kerrの作品を採用した。"I'll Never Love This Way Again"(1979)の柳下ドジョウねらいか。(4)はディスコ系でヒットを飛ばすイギリスのリサ・スタンスフィールド、(9)もイギリス人の作品。88年発表なスティングの曲をカバーした。
 (6)はヒット連発してた、ダイアン・ウォーレンの作品。シングルにはしなかったが。
 (10)に至っては岸洋子"夜明けの歌"(1964)のカバー。なぜ。歌詞はディオンヌ自身が作詞した。岸の歌は第6回レコード大賞の受賞曲だそう。しかしどういう縁なのやら。


 なお(5)では身内のホイットニー・ヒューストンとデュエット。なりふり構わぬ話題作りを図った。 
 本盤から(3)(1)(4)と3枚ものシングルを切り、起死回生を図る。だがどれも全米チャートインはしない。

 前作"Dionne Warwick Sings Cole Porter"は全米チャート155位。それより親しみとヒットを狙った本盤は、200位にも入らなかった。どこか、ボタンを掛け違えたらしい。
 このまま次作も売れず、ワーナーとディオンヌは契約を終了する。そしてディオンヌは過去の栄光を探りながらも、ヒットチャートとは無縁の存在に行ってしまった。

 あまりギラギラした売れ線アレンジが無いせいか。むしろ素直に聴ける。五目味のピントがずれた盤ではあるけれど。
 せっかくのバカラック曲(1)は曲の出来もさることながら、機械仕掛けなアレンジが安っぽい。どうやらバカラックはゴージャスな生オケのほうが映えるみたい。
 楽曲はゆったりはずむ温かいメロディだ。サビのフレーズに変拍子を混ぜ、聴いてると拍頭がすっとズレて気持ちいい。

 全体的に本盤のディオンヌはむやみに声を張らず、低く迫力あるパワーを秘めた歌い方。ガンガン行けるが抑えてるって面持ちだ。派手さも控え若作りもせず、等身大のポップスを緩やかに歌う。
 歌は堅実。だがプロダクションはどうにも腰が据わらない。Barry J. Eastmondへ完全に任せぬフラフラさが、アルバムに迫力を込められない。
 特にB面の冒頭はアレンジが若者狙いでちょっと肌に合わない。

 ダイアンの(6)はシングルにもしない。Andy MorrisとIan Devaneyにプロデュースを任せてしまった。
 スティングのカバー(9)に至っては、プロデュースはディオンヌとハーヴィ・メイソンの共同。なぜここでバリーへ頼らぬのか。
 ちなみにこの曲、リズム・アレンジはハーヴィにデイヴィド・フォスター。弦がボブ・ジェームズ、ボーカル・アレンジがルーサー・ヴァンドロス。予算かけすぎ。

 岸のカバー(10)もプロデュースにMasaki Kuboがクレジットされた。委細不明で経歴がたどれない。餅は餅屋で日本人に任せる格好かもしれないが、アメリカ・スタイルにアレンジならこれも、バリーへ振ればいいのに。それとも過去のアウトテイク?
 この中からベスト曲は選びづらい。(1)もしくは(4)、かなあ。ホイットニーとのデュオ(5)も華やかに喉を二人とも震わせるが、あまりグッと来なかった。

Track listing:
1. Sunny Weather Lover 4:09
2. Age Of Miracles 4:41
3. Where My Lips Have Been 4:35
4. Friends Can Be Lovers 5:28
5. Love Will Find A Way 4:56
6. Much Too Much 4:29
7. Til The End Of Time 5:11
8. The Woman That I Am 4:35
9. Fragile 4:09
10. I Sing At Dawn 4:27

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