Dionne Warwick 「Dionne」(1979)

 21thのアルバム。39歳になったディオンヌは、見事に復活を遂げた。

 バリー・マニロウがプロデュースした本作は、全米12位のプラチナ・アルバム。ディオンヌで過去最高の売り上げ、ゴールドどまりだった"Dionne Warwick in Valley of the Dolls"(1968)以来、10年ぶりのヒットとなる。
 低迷したワーナーから一転して、華やかな舞台にディオンヌは戻ってきた。

 シングルは代表曲A4を筆頭にA5,A2。A4が全米5位、A5も15位まで行った。A2は65位どまりだったが。
 なおワーナーからアリスタへ移籍の時期(と思われる)にアイザック・ヘイズとのデュオ・ライブ盤"A Man and a Woman"(1977)をABCから発売。全米40位とそこそこヒットしてるが、その後の契約につながらず、アリスタから本盤発売、が流れのようだ。

 本盤でディオンヌに気負いはない。バリーに委ね、歌手に徹した感あり。むしろディオンヌは自我を出さぬほうがうまくいくような。クレジットを見ると、リズム隊はアルバムで統一され、サウンドの一体感を狙った。ストリングスももちろん足して、安っぽさは狙わない。

 バリーは自作に拘らない。自分が作曲に関与はB2,B5のみ。A1でルパート・ホルムズ、A5でアイザック・ヘイズの起用を筆頭に、様々な作曲家を並べた。
 方向性は大コケしたワーナー時代の前作と同じ。しかし本盤は大ヒットした。めぐり合わせ、なんだろうな。

 バリーの持ち前、か。ラテン風味の明るさを振りまき、影を拭い去った。ディオンヌは落ち着きを見せ、シャウトできるが抑えるパワーを感じさせる。A2,A4,どちらのヒット曲もそうだ。

 もっと炸裂できる。しかし力を引き締めて余裕を見せる。だからおもむろに喉を張った瞬間の爽快感が生きた。
 バリーのセンスか、曲の構成か。ディオンヌの判断か。どれかはわからないけれど、実に見事な演出だ。ディオンヌのうまさ、実力を華やかに開かせた。
 A3の80年代に向けた打ち込みっぽいタイトさと、思い切り今風のメロディもディオンヌはたやすく歌いこなしてる。B4はもろにディスコ調なディオンヌにとっての新機軸。時代にすり寄ることはなはだしい。とはいえぎこちないながらも危なげなく歌った。
 この辺は凄いな。やっぱりディオンヌは歌が上手い。

 大ヒットにして名曲のA4でも、サビで朗々と歌い上げるパワーと余裕の両立が彼女ならではの魅力だ。ビブラートは嫌味なく響き、尻上がりに歌の出力を上げながらも、まだ余裕を漂わせた。
 つぶやくようなサビのムードが色気を漂わす、A5のメロディ・ラインも心地よい。
 A4と似て、しっとり温かいB1も格別だ。ハーモニーはディオンヌの多重録音かな?隠れた名曲。

 個々の楽曲はさておいて、サウンドはともかくアルバムの色としては統一感が今一つのスリルの無いAORに仕上がった。ぼくはあまり好みでない。

Track listing:
A1. Who, What, When, Where, Why 3:15
A2. After You 4:02
A3. The Letter 3:11
A4. I'll Never Love This Way Again 3:33
A5. Déjà Vu 4:06
B1. Feeling Old Feelings 4:03
B2. In Your Eyes 3:43
B3. My Everlasting Love 4:23
B4. Out Of My Hands 3:17
B5. All The Time 4:06

Personnel:
Dionne Warwick - vocals
Mitch Holder - guitar
Will Lee - bass
Bill Mays - keyboards
Barry Manilow - piano
Rick Schlosser - drums
Alan Estes - percussion
Sid Sharp - concertmaster
Artie Butler, Gene Page, Greg Mathieson, Jimmie Haskell - orchestration

Backing Vocals -
Barry Manilow (tracks: A2 to A5, B1, B3, B5),
Dionne Warwick (tracks: A1, A3, B4)
Ron Dante (tracks: A2 to A5, B1, B3, B5)

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